公務員試験 2020 (R2) 年 国家一般職(農学) No.6 解説

 問 題     

除草剤に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.タイヌビエは出穂までの形態がイネに似ているが、イネにはない葉耳と葉舌があるため区別できる。タイヌビエに選択的に効く除草剤は無いため、田植前に非選択性の除草剤で防除する。

2.土壌処理剤を雑草が発芽する前に地面に散布することにより、土壌の表層に処理層が形成される。発芽した雑草は処理層に触れて枯死する。

3.除草剤の作用機構による分類には、光合成阻害、植物ホルモンのかく乱、フロアブル剤などがある。2、4 ‒ D はサイトカイニンから成る除草剤である。

4.単一の遺伝子によって複数の薬剤への耐性が高まることを複合耐性と呼ぶ。また、水田では、2018 年時点で、除草剤抵抗性雑草は確認されていない。

5.除草剤を含む農薬は、植物防疫法に基づき登録されたもののみ使用が認められている。薬剤の生産管理技術の進歩に伴い、定期的に安全性を評価する再評価制度は廃止された。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
タイヌビエは、水田に多く生える稲作の強害雑草です。イネ科でイネに形態が良く類似していますが、ノビエ (タイヌビエ、イヌビエ、ヒメタイヌビエなどの総称) にはイネに存在する葉耳や葉舌がありません。「イネにはない葉耳と葉舌がある」わけではありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は妥当です。
ジニトロアニリン系「ペンディメタリン」などが有効成分の例です。


選択肢 3 ですが
2,4 – D は「2,4-ジクロロフェノキシ酢酸」の略称です。植物ホルモンの一種であるオーキシン様の作用を持ちます。「サイトカイニンから成る」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
水田で除草剤はたくさん使われているため、抵抗性雑草も発生していると推測できます。水田で 2018 年時点において、除草剤抵抗性雑草が確認されていないという記述は誤りと判断できるのではないでしょうか。一例として、1990 年代中頃から SU 抵抗性雑草が問題になっています。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
除草剤を含む農薬は、「農薬取締法」に基づき登録されたものが使用を認められています。 「植物防疫法」ではありません。また、平成 30 年 (2018 年) に農薬取締法が改正され、再評価制度が導入されました。「再評価制度は廃止された」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。

ちなみにですが、植物防疫法は「輸出入される植物や国内の植物を検疫し、植物に有害な動植物の発生を予防、駆除、およびそのまん延を防止することで、農業生産の安全と発展を図ること」が目的である法律です。


以上より、正解は 2 です。

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