公務員試験 2020 (R2) 年 国家一般職(農学) No.34 解説

 問 題     

光合成に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.光化学系Ⅱにおいて光のエネルギーを用いて水が分解され 、酸素と水素イオンが発生する。このときに発生した電子は光化学系Ⅰに伝えられる。

2.光合成の光化学反応  (明反応) には C3 光合成 、C4 光合成及び CAM 光合成の三つの型がある。C4 光合成は光呼吸を行う量が大きいため 、光合成効率が低い。

3.Rubisco  (ルビスコ) によって TCA 回路に入った CO2 は 、光化学反応でつくられたNADP や ADP のエネルギーを使って還元を受け 、トリオースリン酸となる。

4.C4 光合成では 、取り込まれた CO2 はまず 、ミトコンドリアに局在するホスホエノールピルビン酸  (PEP) カルボキシラーゼで固定され 、アポプラストを通って維管束鞘細胞に運ばれる。

5.光の強さを変えたときに 、みかけの光合成がゼロとなる光の強さを光飽和点と呼ぶ。CO2 分圧を変えたときに 、みかけの光合成がゼロとなる CO2 分圧を CO2 飽和点と呼ぶ。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
チラコイドでの光化学反応についての記述です。


選択肢 2 ですが
C4 光合成では、光呼吸 (酵素 Rubisco による O2 → CO2) が抑制されます。光呼吸の量は小さいです。また、光合成効率は高いです。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
TCA 回路は別名クエン酸回路と呼ばれる「呼吸」の反応回路です。Rubisco により CO2 は「カルビン・ベンソン回路」に入ります。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
ミトコンドリアではなく、葉肉細胞です。選択肢 4 は誤りです。ちなみに、アポプラストとは、植物体内で細胞膜の外側の領域、つまり細胞壁および細胞間空間です。「アポプラストを通って維管束鞘細胞に運ばれる」という記述は妥当です。


選択肢 5 ですが
光「補償点」です。飽和点ではありません。同様に、CO2 飽和点ではなく「補償点」です。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 1 です。

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