問 題
植物ホルモンに関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.トマトやナスなどの自家不和合性を持つナス科野菜の施設栽培では、受粉及び受精が十分に行われない場合に着果促進のためサイトカイニン処理が行われている。
2.デラウェアや巨峰の栽培ではオーキシン処理による無核化と果実肥大が行われている。ニホンナシの熟期促進にはエチレンが用いられている。
3.エテホンは細胞内に取り込まれるとエチレンを発生する。キクの電照栽培では開花抑制のためにエテホンが使われている。
4.ジベレリンはカロテノイドの一種である。ジベレリンは種子のアミラーゼの合成を抑制して、発芽を抑制する。
5.花成ホルモンは葉で合成され、道管を通って茎頂に輸送され、茎頂部を花芽に分化させる。花成ホルモンの正体は FT 遺伝子の mRNA であることが明らかになった。
解 説
選択肢 1 ですが
ナス科の着果促進に用いられるのは「オーキシン」です。サイトカイニンではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
無核化と果実肥大は「ジベレリン処理」によります。オーキシンではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 は妥当です。
エテホンについての記述です。
選択肢 4 ですが
カロテノイドは、動植物が持つ、自然界に存在する黄色や赤色の色素の総称です。カロテノイドと関係が深い植物ホルモンとしては、アブシジン酸があげられます。アブシジン酸は、カロテノイドを前駆体として合成される低分子化合物です。「ジベレリンはカロテノイドの一種」ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
花芽ホルモンの正体は FT タンパク質であることが明らかになりました (シロイヌナズナでは FT タンパク質、イネでは Hd3a タンパク質)。 mRNA ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 3 です。

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