問 題
害虫管理に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.化学農薬は使用せずに、生物的防除、耕種的防除、物理的防除により害虫を管理する方法を IPM と呼ぶ。IPM では、害虫の種類ごとに害虫密度を可能な限り低く抑える防除方法が検討される。
2.要防除水準とは、害虫防除にかかる費用と無防除での被害額が同じになる害虫密度のことで、経済的被害許容水準よりも高い害虫密度で設定されている。
3.害虫が発生する前に防除することを発生予察と呼ぶ。我が国では害虫がいない時期に気象情報を基に行われるが、トビイロウンカなどの海外から飛来する害虫の発生予察はできない。
4.物理的防除には、障壁資材の利用、青色粘着シートへのアザミウマ類の誘引などが含まれる。耕種的防除には、抵抗性品種の利用が含まれる。
5.生物的防除は、天敵を用いて害虫を防除する方法で、ナミハダニやチリカブリダニが天敵製剤として利用されている。また、BT 剤の利用は化学的防除に含まれる。
解 説
選択肢 1 ですが
IPM:Integrated Pest Management (総合的病害虫管理) は、化学的・物理的・生物的・耕種的防除を合理的に組み合わせて害虫管理する方法です。「化学農薬は使用せずに」というわけではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
「要防除水準」は「そろそろ防除しないと害虫が増えすぎて、経済的被害の方が防除費用よりも大きくなるな」という害虫密度です。ちなみに被害と防除費用が同額になるような害虫密度が「経済的被害許容水準」です。経済的被害許容水準 よりも 要防除水準 の方が「低い」害虫密度で設定されています。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
予察は「事前に察知する、前もって推察すること」です。害虫発生前に、発生を事前に察知、推察するのが発生予察です。「害虫が発生する前に防除すること」ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 は妥当です。
物理的防除、耕種的防除についての記述です。
選択肢 5 ですが
BT 剤として市販されている バチルス・チューリンゲンシス は、おもにチョウ目幼虫に速効性がある天敵です。天敵利用なので生物的防除に含まれます。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 4 です。

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