問 題
植物病理学の歴史に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.1840 年代、ベルギーにおいてジャガイモ飢饉が起こり、餓死等でベルギーの人口は 3 分の 1 以上減少した。ド・バリーはこの原因がジャガイモそうか病であると明らかにした。
2.バリルは、ナシ黒星病の病原体が細菌であることを示した。また、フランスのミヤルデは、硫酸銅と生石灰から成るボルドー液を開発したが、現在、日本では使用が禁止されている。
3.動植物を通じて最初に発見されたウイルスはキュウリモザイクウイルス (CMV) である。スタンレーは、CMV が核酸とタンパク質から成ることを証明した。
4.高田鑑三は、イネばか苗病菌からイネの徒長を引き起こす原因物質を発見した。この原因物質は、後に植物ホルモンであることが分かり、オーキシンと命名された。
5.土居養二らは、クワ萎縮病の病原体としてマイコプラズマ様微生物 (現在のファイトプラズマ) を発見した。また、ディーナーは、最小の病原体であるウイロイドを発見した。
解 説
選択肢 1 ですが
ジャガイモ飢饉が起きたのは「アイルランド」です。ベルギーではありません。また、ド・バリーが発見したのは、エキビョウキンによる「疫病」です。「ジャガイモそうか病」ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 ですが
ボルドー液は現代も使われる防除剤です。「現在、日本では使用が禁止」ではありません。選択肢 2 は誤りです。ちなみに、ナシ黒星病の原因は糸状菌 (カビの一種) です。 細菌ではありません。
選択肢 3 ですが
最初に発見されたウイルスときたら「タバコモザイクウイルス」です。キュウリモザイクウイルスではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
イネのバカ苗病菌から発見されたのは「ジベレリン」です。黒沢英一が発見し、藪田貞治郎らにより結晶化・命名されました。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 は妥当です。
ウイロイドは、低分子量の核酸 (環状1本鎖RNA) だけを本体とする病原体の総称です。
以上より、正解は 5 です。

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