問 題
水稲作における農業機械に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.代かきの前に行われる水田の心土破砕作業として、一般にロータリ耕が行われる。ロータリ耕は、プラウ耕に比べて砕土性が良く、土の偏りもほとんど発生せず、乾土効果が大きい。
2.湛水した土を撹かくはんして泥状にする代かきは、土地の均平化、漏水防止、雑草抑制などの効果がある。水田の漏水防止には、泥を畦畔に塗りつける畦ぬりを行うことも重要である。
3.田植機の普及に伴い、保温折衷苗代が用いられるようになった。また、手植えの場合、一般に、苗取りも含めると 1 人では 10 a 当たり 2 ~ 3 時間かかった作業が、 6 ~ 8 条用田植機で 15~20 分に短縮された。
4.自脱式コンバインは、刈取った稲株の穂の部分を脱穀部に通して脱穀し、玄米をタンクに貯留する。普通型コンバインは、自脱式コンバインより籾の損失量が小さく、他の作物にも利用できる。
5.籾すり調製をするためには籾水分が 5 % 以下になるまで乾燥させる必要がある。循環式乾燥機では、常温の風又は熱風に当てながら籾を循環させて水分を一気に低下させる。
解 説
選択肢 1 ですが
心土破砕作業は、農地の心土層を機械で突き破り、透水性を改善する作業です。主に、トラクターに装着するサブソイラーなどの機械で実施されます。農地の心土層とは、作土 (耕される表土) の下にある、耕作によって攪拌されない土壌層のことです。
ロータリー耕とは、ロータリー (回転する刃) を使って土を耕す作業のことです。プラウ耕はプラウ (鋤) を用いて土を天地返しし、土壌を耕す作業のことです。これらで耕すのは心土ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
代かきについての記述です。
選択肢 3 ですが
保温折衷苗代とは、稲の苗を育てるために、土を盛り上げて苗床を作り、その上に焼籾殻をかぶせ、油紙などで覆って保温するシステムです。戦前の昭和 17 年 (1942 年) に、軽井沢町生まれ荻原豊次氏が考案した稲作技術です。田植機の普及は 戦後 昭和 40 年 (1965 年) 前後です。そのため「田植機の普及に伴い、保温折衷苗代が用いられるようになった」わけではありません。
また、 10a 当たりの作業時間は、6 ~ 8 条用田植機を用いると「30 ~ 60 分ぐらい」が妥当と考えられます。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
普通型コンバインは、作物を刈り取り「作物全体」を脱穀機が通過します。自脱型コンバインは、「刈り取った穂先」のみ脱穀機を通過します。こうすることで、茎の部分(稲わら)が使えるなどの利点があります。作物全体を脱穀機が通過する普通型の方が籾の損失量は大きいです。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
籾すり調製とは、稲から籾殻を取り除き、玄米にする一連の作業です。事前の乾燥工程では籾水分14.5~15.0% に乾燥させます。「5 % 以下」は乾燥させすぎです。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 2 です。

コメント