問 題
家畜の飼料に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.飼料要求率は、摂取した飼料と吸収されなかった糞との差を、摂取量で割って百分率で表す。TDN は、可消化養分総量のことで、飼料の脂肪と炭水化物の消化率から算出する。
2.ホールクロップサイレージ (WCS) は、飼料作物の茎葉と子実をサイロや容器に詰め込んで発酵させた飼料である。飼料用イネを WCS にするには、糊熟期から黄熟期が適期とされている。
3.牧草には、イネ科のチモシーやアルファルファ、マメ科のシロクローバなどがある。イネ科牧草では、一般に、出穂前に乾物重が著しく増加し、出穂後には栄養価が高まるとされる。
4.ビートパルプやビール粕といった食品製造時の副産物は、家畜飼料として利用されており、一般に、デンプンや糖類が多く、繊維質が少ない。ビートパルプは主にブタ用飼料に用いられる。
5.食品廃棄物が飼料利用される割合は、食品製造業よりも外食産業で大きい。飼料需給安定法が施行され食品残渣の飼料利用の取組が進められている。
解 説
選択肢 1 ですが
飼料要求率は「1kg 体重増に要した飼料の量 (kg 数)」です。また、TDN (可消化養分総量) は、可消化粗タンパク質+可消化粗脂肪 × 2.25 + 可消化炭水化物 で表されます。「タンパク質」も算出に含まれます。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
ホールクロップサイレージについての記述です。
選択肢 3 ですが
アルファルファはマメ科です。イネ科ではありません。選択肢 3 は誤りです。また、「実るほど頭を垂れる稲穂かな」という諺から連想されるように、イネは出穂後に乾物重がぐっと増加すると考えられます。
選択肢 4 ですが
ビートパルプは、甜菜 (ビート) から砂糖を抽出した後の残渣を乾燥させたものです。ビール粕は、ビールの醸造過程で麦汁をろ過した後の残渣です。ともに繊維質が多く「繊維質が少ない」という記述は誤りと考えられます。選択肢 4 は誤りです。ちなみにビートパルプは主にウシ用飼料に用いられます。
選択肢 5 ですが
食品廃棄物が飼料利用される割合は、食品製造業が 95% 以上を達成しています。一方、外食産業は 約 30% 程度です。「食品製造業よりも外食産業で大きい」わけではありません。選択肢 5 は誤りです。ちなみに「飼料需給安定法」ではなく「食品リサイクル法」が妥当と思われます。
以上より、正解は 2 です。

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