問 題
植物の呼吸と光合成に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.呼吸には解糖系、TCA 回路、電子伝達系の三つの過程があり、いずれも細胞内小器官のミトコンドリア内で行われる。呼吸により発生する CO2 は解糖系の反応において生成する。
2.光エネルギーから化学エネルギーへの変換は葉緑体内のチラコイドで行われる。この過程において H2O の分解と O2 の放出が起きるとともに、化学エネルギーとして NADPH と ATP が生成される。
3.光合成による CO2 吸収量と呼吸による CO2 放出量が等しくなるときの光の強さを CO2 補償点という。また、光呼吸は、光の下でのみ起こる O2 の吸収と CO2 の放出で、活性酸素を生成し、光傷害の要因となる。
4.イネなどの C3 植物では、気孔から取り込まれた CO2 は PEP カルボキシラーゼの作用によって有機酸に固定される。また、炭酸固定で生成した炭水化物の一部はデンプンとして液胞に蓄えられる。
5.気孔は、二つの孔辺細胞から成り、孔辺細胞の体積が減ると開き、体積が増すと閉じる。また、サトウキビなどの C4 植物は、夜間に気孔を開いて CO2 を取り込むことで、乾燥や高温に適応している。
解 説
選択肢 1 ですが
解糖系は細胞質基質で行われます。また、CO2 は「クエン酸回路」で生成されます。「解糖系の反応において」ではありません。選択肢 1 は誤りです。
選択肢 2 は妥当です。
光合成のチラコイドにおける反応についての記述です。
選択肢 3 ですが
第 1 文は「光補償点」についての記述です。「CO2 補償点」ではありません。
第 2 文の前半部分は妥当です。光呼吸についての記述です。第 2 文の後半部分ですが、光呼吸は「過剰な還元力による活性酸素の生成を抑制する」と考えられています。「活性酸素を生成する」わけではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
C3 型は まず Rubisco という酵素が、RuBP (リブロース1,5-ビスリン酸) + CO2 を触媒し、CO2 を取り込む点が特徴です。PEP カルボキシラーゼは、サトウキビなどの C4 型植物で用いられる酵素です。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
夜間に CO2 取り込むのは、パイナップルやサボテンなどの「CAM 植物」です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 2 です。

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