公務員試験 2019 (R1) 年 国家一般職 (農学) No.32 解説

 問 題     

我が国で利用される肥料に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.被覆肥料は、肥料粒子の表面を樹脂などでコーティングしたものである。樹脂系被覆肥料の溶出速度は土壌水分量に依存する。シグモイド型のものでは一定の速度で肥料成分が放出される。

2.配合肥料は、単肥を化学的な処理をせずに単純に配合したものである。窒素、リン酸、カリのうち、 2 成分以上を主成分として含む。

3.化成肥料は、異なる肥料成分を化学的に合成して、造粒したものである。窒素、リン酸、カリを全て含み、その合計量が50 % 以上のものを普通化成という。

4.有機質肥料は、化成肥料と比べて窒素、リン酸、カリなどの成分含有率の高いものが多い。また、原料や製法には一定の基準があり、安定した成分や肥効を持っている。

5.ペースト肥料は、ムギ類やダイズ、野菜など畑作物専用に開発されたペースト状(ソース状)の肥料である。側条施肥よりも全層施肥に適している。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

選択肢 1 ですが
第 1 文は妥当です。被覆肥料についての記述です。第 2 文ですが、土壌水分量にある程度は依存すると考えられます。

第 3 文ですが、シグモイド型は、横軸に時間、縦軸に溶出率を取ると「肥料施用してすぐにはほぼ溶出されず、ある程度時間が経ってからぐっと溶出される」という挙動を示します。「一定の速度で肥料成分が放出される」のは「リニア型」です。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 は妥当です。
配合肥料についての記述です。


選択肢 3 ですが
化成肥料は複合肥料の中で造粒などされた肥料です。複合肥料は N,P,K の 2 成分以上を含みます。「全て含み」ではありません。また、合計量が 15 ~ 30 % を普通化成肥料、30 % 以上を高度化成肥料といいます。「50% 以上のものを普通化成」ではありません。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
有機質肥料とは、植物や動物、またはそれらの排泄物などを原料とした肥料の総称です。化成肥料の方が「安定した成分や肥効」が期待できます。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 ですが
ペースト肥料とは、一定の粘性を持たせた高濃度の液状肥料です。畑用のものもありますが、ほとんどが水稲の基肥用として使用されています。苗の根元に肥料を埋設する「側条施肥」に適します。選択肢 5 は誤りです。


以上より、正解は 2 です。

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