問 題
植物の生育に必要な微量元素に関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.鉄は、一般的には土壌中に大量に含まれているため不足しないが、土壌 pH が高くなると植物に吸収されにくくなる。鉄が欠乏すると、植物は上位葉から葉脈の黄白化が進む。
2.モリブデンは、微量元素の中では必要量が多く、植物体内でファイトアレキシン様物質の生産を誘導することが知られている。アルカリ性土壌では、アルミニウムなどと結合して、不溶化する。
3.マンガンは、土壌 pH や酸化還元条件の変化が生じても影響されず、土壌から安定的に植物に供給される。植物体内では主にフィチンとして種子中に集積されている。
4.塩素は、アミラーゼ活性化作用を持つほか、細胞壁成分の合成過程及び構造維持に不可欠とされている。我が国の土壌では、植物に欠乏が生じやすい。
5.銅は、植物にとって必要量の最も少ない微量元素で、植物の細胞膜の透過性に関係すると考えられている。多腐植質黒ボク土や泥炭土では、植物に過剰障害が生じやすい。
解 説
選択肢 1 は妥当です。
鉄に関する記述です。
選択肢 2,3 ですが
ファイトアレキシン様物質を誘導するのは「エリシター」です。エリシターとして働く代表的無機物質は 銅 (Cu) です。
また、アルカリ性土壌では、鉄、マンガン、亜鉛、銅 などが不溶化します。一方、モリブデンは酸性土壌で欠乏しやすい事が知られています。「モリブデンは・・・アルカリ性土壌では・・・不溶化する」ではありません。選択肢 2 は誤りです。また、「マンガンは・・・土壌 pH・・・変化が生じても影響されず」ではありません。選択肢 3 も誤りです。
選択肢 4 ですが
アミラーゼ活性、細胞壁といったキーワードから、ホウ素 (B) と考えられます。塩素ではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
植物が必須とする微量元素の中で、最も必要量が少ないのはモリブデン (Mo) とされています。銅ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1 です。

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