問 題
収穫後の果実の貯蔵と生理などに関する記述として最も妥当なのはどれか。
1.果実をポリエチレンなどのフィルム資材で包装し、好適なガス環境を作り出す貯蔵法を MA 貯蔵という。MA 貯蔵は CA 貯蔵に比べて安価である。
2.ブドウやモモは、低温貯蔵の際にピッティングなどの低温障害が生じやすい。また、キウイフルーツは、 0 ℃ 以下の氷温貯蔵を行うことが一般的である。
3.ニホンナシでは、果実重量の 3 ~ 4 % 程度を目安に乾燥させる乾燥予措を行う場合がある。また、ポンカンやイヨカンでは、着色を促進させるため低温で予措を行う。
4.セイヨウナシには、収穫時には 10 % 程度のデンプンが蓄積されており、収穫後の追熟で糖化が促進される。果皮色での収穫適期の判断がしやすく、暦日よりもカラーチャートが用いられる。
5.リンゴに含まれる有機酸として、リンゴ酸と酒石酸が知られている。リンゴは、貯蔵中にリンゴ酸が低下することで粉質が改善し、食味が改善される。
解 説
選択肢 1 は妥当です。
MA は「Modified Atmosphere」の略、CA は「Controlled Atmosphere Storage」の略です。CA 貯蔵は「低酸素・高二酸化炭素」状態を作ることで りんごの呼吸を抑制し、鮮度を保ったまま長期保存する特殊冷蔵技術です。
選択肢 2 ですが
ピッティングとは、果物の皮にクレーター状の陥没ができることです。ブドウやモモの障害として「生じやすい」ものではないと考えられます。また、キウイフルーツは収穫後追熟が必要な果実です。追熟後であればありうるのですが「0 ℃ 以下の氷温貯蔵を行うことが一般的」ではありません。選択肢 2 は誤りです。
選択肢 3 ですが
貯蔵性や輸送性を高めるためにおこなう前処理を 予措 (よそ) といいます。予措の例として、収穫後のウンシュウミカンを 1 ~ 2 週間程度 風通しのよい環境におき、2 % から 5 % 減量するまで水分を飛ばし果皮を乾かすこと乾燥予措があげられます。腐敗等を防ぐ効果があります。
ポンカンやイヨカンでは、着色促進のために 10 ~ 15 ℃ で「追熟予措」や、20 ℃くらいで「高温予措」を行います。「着色を促進させるため低温で予措」ではありません。選択肢 3 は誤りです。
選択肢 4 ですが
セイヨウナシは、収穫後一定の追熟期間が必要ですが、外観変化が少ないため収穫時期の判断が難しいことが知られています。「果皮色での収穫適期の判断がしやすい」わけではありません。選択肢 4 は誤りです。
選択肢 5 ですが
有機酸とは、酸性を示す有機化合物の総称です。代表例として、ミカン、リンゴ、ブドウなどの果実中にリンゴ酸、クエン酸、酒石酸などが含まれています。リンゴは、貯蔵中にリンゴ酸が分解されて低下することで、酸味が減少するため食味が「低下」します。食味が「改善」ではありません。選択肢 5 は誤りです。
以上より、正解は 1 です。

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