公務員試験 2019 (R1) 年 国家一般職 (農学) No.15 解説

 問 題     

施設園芸における施設と環境制御に関する記述として最も妥当なのはどれか。

1.植物工場とは、計画生産が可能な完全人工光型施設をいい、太陽光利用型施設は植物工場には含まれない。また、植物工場の光源には赤外線が発生しない高圧ナトリウムランプなどが利用されている。

2.フェンロー型温室は、軒が高い単棟の大型温室であり、ハイワイヤー式の誘引栽培に適している。また、スリークォーター型温室は、丸形の屋根で軟質フィルムを張るのに適した構造となっている。

3.ボイラーで熱した温湯を配管給湯するヒートポンプ暖房は、温風暖房に比べ施設内の温度が均一になりやすい特徴がある。また、不織布を施設の外張りに用いることをべたがけといい、夜間の放熱を防ぐ効果がある。

4.地表面をプラスチックフィルムで覆うマルチングでは、透明フィルムより黒色フィルムの方が地温上昇効果が高い。また、ポリエチレンフィルムは、塩化ビニルフィルムに比べ保温性が高い。

5.施設内に細霧を噴射する冷房を細霧冷房、湿らせた資材に外気を通して冷風を施設内に入れる冷房をパッド・アンド・ファン冷房という。これらの冷房方式は湿度が低い場合に冷却効果が高い。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

選択肢 1 ですが
植物工場は、植物を工場的に生産する方式のことです。人工光のみ、人工光+自然光、自然光のみなどの方式に分類されます。自然光とは、太陽光のことです。「太陽光利用型施設は植物工場には含まれない」というわけではありません。選択肢 1 は誤りです。


選択肢 2 ですが
前半部分は妥当です。ハイワイヤー式とは、トマトの茎を直立にする栽培方法です。採光性があがり、収量が増えるなどのメリットがあります。

後半部分は「ドーム型温室」についての記述です。スリークォーター型温室は、南側の屋根の面積を大きく取っている不均等な屋根を持つ温室です。冬場の日照率をカバーしやすいといったメリットがあります。選択肢 2 は誤りです。


選択肢 3 ですが
前半部分は妥当です。温湯暖房の特徴についての記述です。

後半部分ですが、べたがけは「タネまきや苗を植えた後に、不織布などで 畝全体を覆うこと」です。施設の外張りに用いることではありません。選択肢 3 は誤りです。


選択肢 4 ですが
透明フィルムの方が光の吸収がよく、地表面温度上昇効果が高いです。黒色フィルムは太陽光を遮るため、雑草などが生えにくいといった特徴があります。また、塩化ビニルフィルムの方が、ポリエチレンフィルムよりも保温性が高いです。選択肢 4 は誤りです。


選択肢 5 は妥当です。
細霧冷房、パッド・アンド・ファン冷房についての記述です。


以上より、正解は 5 です。

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