公務員試験 2019年 国家一般職(行政) No.43解説

 問 題     

我が国の経済の動向に関する次の記述のうち,妥当なのはどれか。

1.実質 GDP 成長率の動きをみると,2013 年度は前年度比で 2 % を超える比較的大きな成長率であったが,翌年度の 2014 年の 4-6 月期については消費税率の引上げによる消費の大きな落ち込みがあり前期比(実質,季節調整済)でマイナスとなった。その後,2015 年度から 2017 年度における各年度の実質 GDP 成長率は前年度比でプラスを維持している。

2.我が国の名目 GDP に占める民間最終消費支出は,2017 年度では約 75 % を占めている。また,実質民間最終消費支出の前年度比をみると,2012 年度以降 2015 年度までマイナスとなっていたものの,2016 年度及び 2017 年度については,雇用・所得環境の改善を受けて 3 % を超えるプラスとなった。

3.民間企業設備投資(名目)の動向をみると,2012 年から 2014 年については前年比マイナスで推移していたが,2015 年から2017 年については,新製品開発や情報化投資が進んだことから,3 年連続で前年比プラスとなった。また,2016 年についてみると,民間企業設備投資のうちソフトウェア投資が 5 割以上を占めている。

4.GDP ギャップは,実際の GDP と潜在 GDP の乖離率として計算される指標であり,景気拡張期にマイナス方向へ推移し,景気後退期にプラス方向へ推移する特徴がある。GDP ギャップを 2000 年以降についてみると,ほぼプラスで推移していたが 2010 年以降マイナスに転じ,その後 2017 年現在まで,マイナス幅が拡大して推移している。

5.日本銀行は,2013 年 4 月に「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」を導入して以降,累次の金融緩和政策を行っている。この結果,日本銀行「資金循環統計」でみた国債保有者の構成比は 2012 年では民間金融機関(預金取扱機関)が 4 割,日本銀行が 1 割であったが,2017 年では民間金融機関の割合に大きな変化はないものの,日本銀行が 2 割に上昇した。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

選択肢 1 は妥当です。
実質 GDP 成長率の動きに関する記述です。

選択肢 2 ですが
民間最終消費支出とは、家計による消費財への支払いのことです。名目 GDP に占める割合は約 55% です。「75%」は少し多すぎると感じるのではないでしょうか。選択肢 2 は誤りです。

選択肢 3 ですが
民間企業による情報設備投資(電気通信機器、ソフトウェア、電子計算機等)は、本試験時点、ほぼ 2 割弱で推移しています。「ソフトウェア投資が 5 割以上」は多すぎます。選択肢 3 は誤りです。

選択肢 4 ですが
GDP ギャップは需給ギャップとも呼ばれ、景気拡張期は、需要が供給を上回ります。この時、GDP ギャップは「プラス方向に推移」します。一方、景気後退期は、供給が需要を上回ります。この時、GDP ギャップは「マイナス方向に推移」します。従って、プラスとマイナスが逆です。選択肢 4 は誤りです。

選択肢 5 ですが
国債保有者の構成比で最大を占めるのは、日本銀行です。 日本銀行が 4 割弱です。選択肢 5 は誤りです。

以上より、正解は 1 です。

コメント