R7年 大気有害物質特論 問5 問題と解説

 問 題     

ふっ素化合物に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. ふっ化水素水溶液は弱い酸性を示すが、強い腐食性をもつ。
  2. ふっ化水素の水への吸収では、液側境膜抵抗が吸収速度を支配する。
  3. ヘキサフルオロけい酸の水溶液は、強い酸性を示す。
  4. 四ふっ化けい素を含む排ガスの吸収処理装置では、析出する二酸化けい素による閉塞を考慮しなければならない。
  5. ふっ化水素を含む洗浄水の処理方法としては、水酸化カルシウムによる中和がある。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

(1)は正しいです。ふっ化水素水溶液は弱酸性ですが、強い腐食性を有していて、多くの金属やけい素化合物を溶解・腐食します。そのため、ふっ化水素水溶液の保存にガラス瓶などは使えず、ステンレス鋼など耐食性の材料が使用されます。

(2)が誤りです。ふっ化水素は水にとても溶けやすいので、「液側境膜抵抗」ではなく「ガス側境膜抵抗」が吸収速度を支配します。ガス側境膜抵抗と液側境膜抵抗の区別は、次の通りです。

気体が液体に充分に溶けやすい(溶解度が大きい)とき、液体側はいくらでも気体を受け入れられる状態にあるため、気体の液体への吸収速度は気体側に依存することになります。つまり、この場合はガス側境膜抵抗が吸収速度を支配します。

一方、液体に溶けにくい(溶解度が小さい)ような気体を溶かす際は、液体側に現状溶け込んでいる濃度が問題となってくるため、その吸収速度は液体側に依存します。つまり、この場合は液側境膜抵抗が吸収速度を支配します。

(3)は正しいですが、ややマイナーな知識であるため、あまり気にしなくてもいいと思います。

(4)も正しいです。四ふっ化けい素を含む排ガスの吸収処理装置として密な充塡物を用いた充塡塔を使用すると、析出した二酸化けい素によって充塡塔が閉塞してしまうおそれがあります。そのため、密な充塡物を使わないなどの考慮が必要です。

(5)も正しいです。ふっ化水素水溶液は弱酸性なので、水酸化カルシウムによる中和が有効となります。

以上から、正解は(2)です。

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