R7年 大気特論 問7 問題と解説

 問 題     

燃焼排ガスによる低温腐食の防止対策として、誤っているものはどれか。

  1. 硫黄分の少ない燃料を用いる。
  2. 熱交換器の表面温度が酸露点を上回らないようにする。
  3. 熱交換器内のガスの流れを一様にする。
  4. 酸化マグネシウム粉末などを二次空気に混ぜて燃焼室内に吹き込む。
  5. できるだけ理論空気量に近い空気で燃料を完全燃焼させる。

 

 

 

 

 

正解 (2)

 解 説     

(1)は正しいです。低温腐食の原因は、排ガス中のSO3です。これが水分(H2O)と反応して硫酸(H2SO4)が生成することで設備を腐食させます。よって、硫黄分の少ない燃料を用いることで排ガス中のSO3が低減できるので、これは低温腐食の防止対策となります。

(2)が誤りです。排ガスの温度が酸露点以下では、ガス状の硫酸が凝縮します。すると、液体となった硫酸がその場所にとどまって設備を腐食してしまうため、低温腐食が進行します。

(2)の記述はむしろ逆で、低温腐食の防止対策としては、熱交換器の表面温度が酸露点を「上回るようにする(下回らないようにする)」のが正しいです。常に酸露点を超えていれば、ガス状の硫酸がミスト化することもなく、ガス状のまま通り抜けて排出されます。

(3)は正しいです。ガスの流れが不均一だと、一部の冷えた箇所で局所的に酸露点以下となり、硫酸が凝縮して低温腐食を引き起こします。そのため、ガスの流れはできるだけ一様にするのが望ましいです。

(4)も正しいです。MgOのようなアルカリ性物質は、排ガス中のSO3と反応して固体の硫酸塩を生成します。これにより硫酸が発生するのを抑制できるため、これは低温腐食の防止対策となります。

(5)も正しいです。過剰空気が多いと排ガス量が増え、温度が下がりやすくなります。すると酸露点以下となって硫酸による低温腐食のリスクが上がります。そのため、不完全燃焼にならない範囲で、できるだけ理論空気量に近い空気で燃料を完全燃焼させるのが理想的です。

以上から、正解は(2)となります。

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