問 題
大気中の粒子状物質の性質と呼吸に伴って吸入されたときの生体への影響に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 粒子状物質の生体影響は、濃度以外に粒径及び粒子の化学的性質で決まる。
- 微小粒子状物質には、硫酸塩や硝酸塩、元素状炭素などが含まれている。
- 口呼吸では、0.05~2μmの粒子は、気管気管支領域への沈着率が低い。
- 肺胞領域に沈着した粒子は、肺胞上皮の線毛運動によって呼吸器外へ排出される。
- 微小粒子状物質に関しては、環境基準に加えて、健康影響への注意喚起のために暫定的な指針値が示されている。
正解 (4)
解 説
(1)は正しいです。粒径や粒子の化学的性質によって肺への入りやすさ、付着のしやすさ、毒性などが変わってきます。よって、濃度だけでなく粒径や粒子の化学的性質も生体影響を変える要素となります。
(2)も正しいです。浮遊粒子状物質や微小粒子状物質は大きさだけが基準になるため、その成分は様々です。(2)にあるような硫酸塩や硝酸塩、元素状炭素などが含まれることも多いです。
(3)も正しいです。あまり重要事項ではありませんが、記述の通り、口呼吸では、0.05~2μmの粒子は気管気管支領域への沈着率が低くなります。
(4)が誤りです。仮に(4)のように一度肺胞に付いた粒子が簡単に外に出てくるなら、粒子状物質の健康被害はあまり問題になりません。しかし実際には、肺胞上皮には線毛がなく、沈着した粒子はそのまま留まってしまうため、健康被害が現れます。
(5)は正しいです。これも(3)と同様あまり重要ではありませんが、微小粒子状物質には環境基準とは別に、健康影響への注意喚起のための暫定的な指針値が示されています。
以上から、正解は(4)となります。

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