R7年 大気概論 問9 問題と解説

 問 題     

揮発性有機化合物(VOC)に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. VOCは、光化学オキシダント生成の原因物質の一つである。
  2. VOCは、浮遊粒子状物質(SPM)生成又は微小粒子状物質(PM2.5)生成の原因物質の一つである。
  3. 法規制の対象となる大規模な排出施設に対して、総量規制が実施されてきた。
  4. 固定発生源としては、塗装、印刷、洗浄などの施設がある。
  5. 2019(令和元)年度における固定発生源からのVOC大気排出量は、2000(平成12)年度と比較して5割以上削減された。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

(1)は正しいです。光化学オキシダントの主成分であるオゾンは、窒素酸化物と非メタン炭化水素を含む揮発性有機化合物(VOC)などが関わる大気中の光化学反応で生成します。この反応は複雑なので、その内容まで押さえる必要はありません。

(2)も正しいです。浮遊粒子状物質や微小粒子状物質は大きさだけが基準になるため、その発生源や由来は関係ありません。工場や車などの人為的発生源由来のほか、火山の噴火や黄砂の飛来などの自然発生源が由来となることもあります。そのため化学成分も様々で、VOCも含まれます。

(3)が誤りです。VOCは「総量規制」ではなく「濃度規制」となります。大規模排出施設は排出濃度が規制され、それ以外の中小施設は排出濃度を抑制する自主的取り組みが求められています。

ちなみに、この試験(大気分野)で総量規制といえばまず硫黄酸化物を思い出してほしいです。また、環境基準の確保が困難な一部地域では窒素酸化物も総量規制となり得ますが、いずれにせよVOCで総量規制はありません。

(4)は正しいです。VOCの固定発生源には、塗装、接着、印刷、化学製品製造、工業製品洗浄、ガソリン等貯蔵などに用いる施設があります。

(5)も正しいです。基準年の2000年には法規制がありませんでしたが、その後2010年に法規制が始まり、今ではVOCの排出量が基準年の半分以下となっています。

以上から、正解は(3)となります。

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