R7年 水質有害物質特論 問12 問題と解説

 問 題     

排水の検定に用いられる前処理・分析操作とその対象となる有害物質との組合せとして、不適切な組合せはどれか。

  • (前処理・分析操作)  (有害物質)
  1. 水素化物発生    ひ素及びその化合物
  2. ヘッドスペース   トリクロロエチレン
  3. パージ・トラップ  四塩化炭素
  4. 溶媒抽出      ポリ塩化ビフェニル
  5. 活性炭抽出     ベンゼン

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

(1)は正しいです。ひ素及びその化合物の検定方法として定められているのは、以下の4つです。

  • ジエチルジチオカルバミド酸銀吸光光度法
  • 水素化物発生原子吸光法
  • 水素化物発生ICP発光分光分析法
  • ICP質量分析法

よって、水素化物発生はよく用いられる前処理操作をいえます。

(2)と(3)もともに正しいです。ヘッドスペース法やパージ・トラップ法はベンゼンと各種の塩素化炭化水素の前処理としてよく用いられます。トリクロロエチレンと四塩化炭素は塩素化炭化水素の一種なので、いずれも適切です。

(4)も正しいです。PCB(ポリ塩化ビフェニル)は揮発しにくい比較的分子量の大きい物質です。そのため、(2)や(3)に出てきた塩素化炭化水素に使えるヘッドスペース法やパージ・トラップ法が、PCBには使えません。

よって、PCBを分離、濃縮するための前処理方法は、農薬などと同じように溶媒抽出法を用いることが多いです。

(5)が誤りです。(2)と(3)の解説で示したように、ベンゼンの前処理では、各種の塩素化炭化水素と同じくヘッドスペース法やパージ・トラップ法が用いられます。

ちなみに、この試験においては、前処理として活性炭抽出を使うのは1,4‒ジオキサンだけと考えて大丈夫です。1,4‒ジオキサンの構造や特徴を押さえておきたい方はR2 問15の解説の(5)を参照してください。

以上から、正解は(5)となります。

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