R7年 水質有害物質特論 問11 問題と解説

 問 題     

有害物質の検定では試料を前処理した後、適切な分析法が適用される。その分析法に関する次の記述のうち、誤っているものはどれか。

  1. ガスクロマトグラフ法は、塩素化炭化水素の検定に用いられる。
  2. ガスクロマトグラフ質量分析法は、1,4-ジオキサンの検定に用いられる。
  3. 薄層クロマトグラフ法は、シアン化合物の検定に用いられる。
  4. イオンクロマトグラフ法は、ふっ素及びその化合物の検定に用いられる。
  5. ICP質量分析法は、カドミウム及びその化合物、鉛及びその化合物の検定に用いられる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

(1)は正しいです。ガスクロマトグラフに関して、覚えておきたい検出器と検出できる対象物質は、以下の5種類です。検出器についてはこの問題とは関係ありませんが、類題だと問われることもあるので、覚えておくと便利です。

  • 熱伝導度検出器(TCD):大体何でも検出可能(ただし、感度はほかの検出器よりも低め)
  • 水素炎イオン化検出器(FID):普通の(塩素を含まない)有機化合物(例:ベンゼン)
  • 電子捕獲検出器(ECD):アルキル水銀、塩素化炭化水素(塩素以外のハロゲンでも可)
  • 炎光光度検出器(FPD):硫黄化合物、りん化合物
  • 熱イオン化検出器(TID,FTD):窒素化合物、りん化合物

上記の通り、電子捕獲検出器(ECD)を使ったガスクロマトグラフ法が、塩素化炭化水素の検定に用いられます。

(2)~(5)に記載された各物質の検定方法はいずれも頻出なので、以下に示す物質ごとの検定方法をしっかりと抑えておく必要があります。

(2)も正しいです。1,4-ジオキサンの検定方法として定められているのは、以下の3つです。

  • 活性炭抽出-ガスクロマトグラフ質量分析法
  • パージ・トラップ-ガスクロマトグラフ質量分析法
  • ヘッドスペース-ガスクロマトグラフ質量分析法

(3)が誤りです。シアン化合物の検定方法として定められているのは、以下の3つです。

  • ピリジン-ピラゾロン吸光光度法
  • 4-ピリジンカルボン酸-ピラゾロン吸光光度法
  • 流れ分析法

(4)は正しいです。ふっ素及びその化合物の検定方法として定められているのは、以下の4つです。

  • ランタン-アリザリンコンプレキソン吸光光度法
  • イオン電極法
  • 流れ分析法
  • イオンクロマトグラフ法

(5)も正しいです。カドミウム/鉛及びその化合物の検定方法として定められているのは、以下の4つです。カドミウムと鉛の検定方法は全く同じなので、まとめて覚えておくことをお勧めします。

  • フレーム原子吸光法
  • 電気加熱原子吸光法
  • ICP発光分光分析法
  • ICP質量分析法

以上から、正解は(3)となります。

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