R7年 水質有害物質特論 問10 問題と解説

 問 題     

重金属排水の処理に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。

一般的に重金属は(1)難溶性水酸化物として除去される。主な処理装置である凝集沈殿装置では、凝集pHは9~10で、(2)共沈剤として(3)塩化鉄(Ⅲ)を使用する場合が多い。

この凝集pHは対象物質の溶解度を(4)最大にするpHであるが、(2)共沈剤を使用することで(5)処理pH領域が広がり、処理水質が安定する。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

(1)は正しいです。多くの金属はアルカリ条件下で難溶性の水酸化物となり、沈殿します。

(2)と(3)もともに正しいです。塩化鉄(Ⅲ)は優れた凝集剤であり、カドミウムや鉛やその他の重金属と共沈処理すると、その重金属を効率よく処理できます。よって、ここで使われる凝集剤は共沈剤とも呼ばれます。

(4)が誤りです。重金属の溶解度が最大になるpHというのは、重金属が水に溶けやすい=処理できないpHを意味します。それでは排水処理にならないので、「最大」ではなく「最小」の溶解度となるようにpHを調整することが重要です。

(5)は正しいです。共沈剤があると処理pH領域が広がるため、多少のpHの変動があっても十分な処理が期待できます。

以上から、正解は(4)となります。

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