問 題
次の有害物質のうち、揮散法により排水から分離するのが最も困難なものはどれか。
- 1,2-ジクロロエタン
- ジクロロメタン
- 1,4-ジオキサン
- 四塩化炭素
- 1,1,2-トリクロロエタン
正解 (3)
解 説
揮散法は、有機塩素化合物を曝気により揮散させ、排水から分離する排水処理方法です。よって、「揮散法といえば有機塩素化合物」と連想できるようにしておいてください。
選択肢の中では(3)以外に「クロロ」や「塩化」を含むことからもわかる通り、これらは有機塩素化合物なので揮散法が有効です。
ちなみに、有機塩素化合物に限らず、揮発しやすい物質は曝気によってガス化し、空気中に抜けていくため、揮発性のアンモニアやベンゼンについても揮散法が使えます。
一方、(3)の1,4-ジオキサンは分子式がC4H8O2であるエーテル類に属する有機化合物です。酸素原子の非共有電子対の存在により水にはよく溶け、沸点も水に近いので水に似た挙動をとるために、活性炭吸着や凝集沈殿といった汚水処理方法では1,4-ジオキサンの除去ができません。
また、揮発性有機化合物ではあるものの、その揮発性の程度が低いため、揮発法も有効ではありません。
ではどうやって処理するのかといえば、今最も使われている手段は、オゾン酸化や促進酸化などの分解法くらいです。生物分解法での処理も考案されていますが、条件に合う微生物が少なく、今は実用化に向けた研究を行っている段階です。
以上から、正解は(3)となります。

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