R7年 水質有害物質特論 問7 問題と解説

 問 題     

アンモニアストリッピング法に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 水中ではアンモニウムイオンと遊離アンモニアは平衡状態にあり、pHが低くなると遊離アンモニアの存在比が高くなる。
  2. 遊離アンモニアは、曝気(ばっき)やスクラバーによって容易に水中から除去できる。
  3. pH調整用のアルカリ剤に消石灰を用いると、カルシウムスケールが生成しやすい。
  4. アンモニアの除去率は水温の影響を受けるため、除去率を上げる目的で排水を加温することもある。
  5. アンモニアガスは硫酸に吸収させて、硫酸アンモニウムとして回収できる。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

(1)に関して、アンモニアストリッピング法は、排水のpHをアルカリ性にして、アンモニウムイオンをアンモニアガスに変え、大気に揮散させるというアンモニア処理法です。

よって、(1)の「pHが低くなると遊離アンモニアの存在比が高くなる」という記述では平衡の向きが反対になってしまいます。

アンモニウムイオンから弱塩基であるアンモニアを遊離させたいときは、より強い塩基を加えればよいです。一般論として、弱い塩基のイオンに対して強い塩基を入れると、強い塩基がイオンになって、弱い塩基が遊離します。これを「弱塩基の遊離」といいます。

余談ですが、これは酸にも言えることで、弱酸のイオンに強酸を加えると強酸がイオン化して弱酸が分子として遊離します。

以上から、正解は(1)となります。

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