問 題
ふっ素排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ふっ化カルシウム法における最適な反応pHは、pH4~5程度である。
- 一般に、ふっ化カルシウム法では、ふっ素濃度10mg/L以下にすることは困難である。
- ふっ化カルシウム法における凝集沈殿において、沈殿汚泥を反応槽に返送することによって、凝集汚泥の沈降性をよくすることができる。
- アルミニウム塩による凝集沈殿処理では、ふっ素濃度を10mg/L未満にすることができる。
- ふっ素吸着樹脂は、水酸化ナトリウムで再生することができる。
正解 (1)
解 説
(1)が誤りです。ふっ化カルシウムは酸性でもアルカリ性でも溶けやすい一方、中性付近だと沈殿しやすいという特徴があります。よって、処理対象がふっ素のみである場合、最適pHは7付近となります。
(2)と(4)はともに正しいです。ふっ化カルシウム法はふっ素除去の有用な処理方法のひとつですが、これだけではふっ素濃度が10~20mg/L程度までしか下がりません。これは、生成したふっ化カルシウムがわずかに水に溶けることや、コロイドを形成して浮いてしまう(=沈殿しにくくなる)ためです。
よって、基準値が厳しい地域では、高度処理としてアルミニウム塩を添加して水酸化アルミニウムのフロックを生成させ、これにふっ化物イオンを吸着・共沈させる方法(水酸化物共沈法)が用いられます。
残る(3)と(5)はともに正しいですが、ほかの選択肢に比べると重要度は低めです。
(3)で、ふっ化カルシウム法における凝集沈殿において、沈殿汚泥を反応槽に返送する汚泥循環法を用いると、コロイド状ふっ化カルシウムを低減する効果があり、凝集汚泥の沈降性をよくすることができます。
(5)は記述の通りで、ふっ素吸着樹脂は水酸化ナトリウムによって再生できます。
以上から、正解は(1)となります。

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