R7年 水質概論 問5 問題と解説

 問 題     

要監視項目の水質の状況に関する記述として、誤っているものはどれか(環境省:令和4年度公共用水域水質測定結果による)。

  1. モリブデン、アンチモンは河川で指針値を超過した地点があった。
  2. 全マンガンは、河川及び湖沼で超過率が高いものの一つである。
  3. 海域においてウランの超過率が高いのは、海水中に天然に存在するウランによるものと考えられる。
  4. ペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)及びペルフルオロオクタン酸(PFOA)の指針値(暫定)は、各々の化学物質について定められたものである。
  5. 生活環境項目の水生生物の保全に係る要監視項目(6項目)については、河川、湖沼、海域とも、指針値を超過した検体はなかった。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

要監視項目は、環境基準を定めるほどではないけれど、注意しておかなくてはならないような物質を定めています。

環境基準の達成状況については頻出事項なので覚えておく必要がありますが、今回のように要監視項目の達成状況が出題されるのは珍しいです。そのため、(1)~(3)、(5)の正誤は判断できなくても構わないと思います。

ただし、残る(4)は近年注目されているPFAS(PFOS・PFOAなど)に関する文章であり、今後の試験でも頻出テーマとなる可能性が高いです。しかも本問の正解は(4)なので、この問題は捨て問題とせず、(4)の誤りをきちんと見極めたいところです。

(4)について、PFASは、ペルフルオロアルキル化合物及びポリフルオロアルキル化合物の総称です。ざっくりいえば「有機ふっ素化合物」と表現でき、これは10000種類以上の化合物群となります。

PFASの中でも、PFOSやPFOAという特定の化合物は、耐水性、耐油性、耐熱性が高いため、食品包装や防水加工製品、消火剤など幅広い製品に使用されています。一方で、これらの物質は、難分解性、高蓄積性、長距離移動性があり、環境中で分解されにくく、健康や環境への悪影響が懸念されています。

そのため、人の健康の保護に関する要監視項目に「PFOS及びPFOA」が追加され、その指針値(暫定)が「0.00005mg/L以下」と定められました。ただし、まだ毒性学的に明確な基準値や指針値を定めるのが困難であるため、あくまでも暫定値という扱いになっています。

なお、これは公共用水域と地下水のどちらにも適用され、指針値も同じです。また、「PFOS及びPFOA」はセットで1項目なので、評価する際にはPFOSとPFOAの合計値で評価します。

以上から、(4)の「各々の化学物質について定められた」という部分が誤りなので、正解は(4)となります。

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