問 題
溶存酸素の測定に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ミラー変法は、アルカリ性かつ酒石酸塩の存在下で、試料中の溶存酸素が鉄(Ⅱ)を鉄(Ⅲ)とする反応を利用した方法である。
- 隔膜電極法は、隔膜電極を試料に浸漬して溶存酸素を測定する方法で、隔膜を透過した酸素が還元されて生じる電流を測定している。
- ポリエチレンや四ふっ化エチレン樹脂(テフロン)は、隔膜電極法の隔膜に使用される。
- 光学式センサ法で用いる光学式センサは、蛍光物質やりん光物質などを塗布したセンサキャップ、励起光源、光検出部などから構成される。
- よう素滴定法は、溶存酸素の標準的な定量法であり、酸化性及び還元性物質、懸濁物、着色物質の影響を受けにくい。
正解 (5)
解 説
溶存酸素の測定は以下の4種類です。
- よう素滴定法(ウィンクラー-アジ化ナトリウム変法)
- ミラー変法
- 隔膜電極法(溶存酸素電極による測定法)
- 光学式センサ法
このほかに比色検定もありますが、これは簡易測定法であり、厳密な測定法としては規定されていません。
(1)は正しいです。記述の通り、ミラー変法はアルカリ性かつ酒石酸塩の存在下で、試料中の溶存酸素が鉄(Ⅱ)を酸化し、鉄(Ⅲ)とする反応を利用する方法です。
(2)と(3)はともに正しいですが、これらはややマイナーな知識なのであまり気にしなくてもいいと思います。
(4)も正しいです。光学式センサは、蛍光物質やりん光物質などが塗布されたセンサキャップ、励起光源、光検出部などから構成されるもので、このセンサを試料に浸すと、塗布された蛍光物質やりん光物質が発する光が試料中の溶存酸素による消光作用を受けます。
この消光作用が溶存酸素量に比例することを利用して溶存酸素濃度を求めるのが、光学式センサ法です。
(5)が誤りです。よう素滴定法では、試料に硫酸マンガン(Ⅱ)溶液とアルカリ性よう化カリウム-アジ化ナトリウム溶液を加え、溶存酸素との反応により水酸化マンガン(Ⅲ)を生成させます。
これは溶存酸素の標準的な定量法だといえますが、よう化物は酸化剤や還元剤などと反応しやすいため、酸化性及び還元性物質、懸濁物、着色物質の影響を大きく受けてしまうという欠点があります。
よって、(5)の「影響を受けにくい」が誤りで、正しくは「影響を受けやすい」となります。
以上から、正解は(5)です。

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