問 題
排水のBODの測定に用いる植種液に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 十分に生物化学的平衡に達していない下水は好ましくない。
- 新鮮な生下水を20℃又は室温で24~36時間放置した後に、その上澄み液を用いる。
- 硝化生物の多い下水の上澄み液が好ましい。
- 植種液として下水の上澄み液を用いたときに正常なBODを示さない場合には、土壌抽出液などを用いる。
- 排水の放流を受けている河川の放流地点から500~1000m下流の水を植種液に用いると、良好な結果を得ることがある。
正解 (3)
解 説
BOD(生物化学的酸素消費量)は好気性微生物が20℃条件下で5日間に消費する溶存酸素量のことなので、その測定には好気性微生物が欠かせません。試料中に好気性微生物が充分に含まれている場合には特に問題がありませんが、そうでない場合は植種液として好気性微生物を外部から加える必要があります。
このとき、(3)のように硝化生物という特殊な細菌を用いてしまうと、窒素化合物を分解することは得意でも、より一般的な有機化合物(炭素系)を分解するのは苦手なので、定量的な測定ができなくなってしまいます。
よって、(3)は「硝化生物の多い」ではなく「硝化生物の少ない」と直す必要があります。
ちなみに、硝化生物が少なければ下水を用いることができますが、下水ではなく河川の水などでも構いません。
以上から、正解は(3)となります。

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