R7年 汚水処理特論 問1 問題と解説

 問 題     

汚水等処理計画において考慮すべき記述として、誤っているものはどれか。

  1. 汚水処理装置の設置計画に入る前に、工場内で排水の量及び濃度を極力減らすように努力する。
  2. 製品の歩留まりを向上させて、排水への汚濁負荷の絶対量を低減できることがある。
  3. 水使用の合理化を進めて、製品の単位生産量当たりあるいは出荷額当たりの排水量を小さくする。
  4. 向流多段洗浄は個別のバッチ洗浄と比較して、排水量だけでなく汚濁負荷の絶対量を著しく減少させることができる。
  5. 排水の量や水質の時間変動が大きいときは、調整槽を設けて平均化し、排水処理を容易にする。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

(1)は正しいです。大もとの排水の量や汚染度を少しでも減らすことができるなら、その後の汚水処理の負担が軽くなります。よって、これは計画を立てるにあたって重要な視点です。

(2)も正しいです。歩留りとは、原料の消費量に対する生産量の割合のことです。よって、これが向上すれば原料の無駄が少なくなる分、排水の汚濁負荷を減少できます。

(3)も正しいです。水使用の合理化によって排水量を減らすことができれば、環境負荷が低減できます。

(4)が誤りです。複数の原料や製品を連続的に向流洗浄することによって、個別のバッチ洗浄と比較して排水量を著しく減少させることができます。

しかし、(4)にあるように汚濁負荷の絶対量を著しく減少させることはできません。むしろ、少ない水で多くの汚れを落とすため、排水中の濃度は濃くなります。水量が減って濃度が上がるため、汚濁負荷の絶対量としては大して変わらないといえます。

(5)は正しいです。排水の量・質が変動する状態で排水処理する場合、水量や汚れが多いときに合わせた処理能力が必要となります。しかし、調整槽を設けて排水濃度を平均化すれば、その平均化された水質に合わせた処理能力で済むので、排水処理が容易になります。

以上から、正解は(4)です。

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