R7年 大規模水質特論 問7 問題と解説

 問 題     

下図は、めっき排水処理のフローシート例である。添加する薬剤(A)、(B)、(C)の組合せとして、最適なものはどれか。

ただし、図中のX槽は名称を伏せてある。また、汚泥や逆洗排水のラインは省略してある。

  •    A           B        C
  1. 硫酸        亜硫酸水素ナトリウム  消石灰
  2. 硫酸        次亜塩素酸ナトリウム  消石灰
  3. 水酸化ナトリウム  亜硫酸水素ナトリウム  消石灰
  4. 水酸化ナトリウム  亜硫酸水素ナトリウム  硫酸
  5. 水酸化ナトリウム  次亜塩素酸ナトリウム  硫酸

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

めっき排水処理のフローに関する出題は珍しいです。悪問・奇問というわけではないので、余裕があれば押さえておきたいところですが、ご自身の学習状況や理解度によっては後回しにしても構わないと思います。

まず、フローの左側に「クロム濃厚液槽」がある通り、めっき排水にはクロムが多く含まれます。そしてクロムイオンには主に3価と6価がありますが、6価のほうが水に溶けやすく、かつ、有毒です。そのため、六価クロムを処理する際には三価クロムに還元するのが基本です。

よって、図のX槽は六価クロムを三価クロムに還元する場所となります。これをクロム還元槽といいます。

ここでは、(A)と(B)の2種の薬剤が注入されますが、クロムの還元反応は酸性条件で進むため、(A)は酸性にするための薬剤となります。そして、(B)が還元剤です。

(A)の選択肢には「硫酸」と「水酸化ナトリウム」がありますが、このうち酸性条件を作るための薬剤は、もちろん「硫酸」です。

また、(B)の選択肢には「亜硫酸水素ナトリウム」と「次亜塩素酸ナトリウム」がありますが、亜硫酸水素ナトリウムが還元剤、次亜塩素酸ナトリウムが酸化剤なので、ここでは「亜硫酸水素ナトリウム」を選ぶのが適切です。

続いて(C)について、これは図を見ると中和槽に注入されていますが、前段で酸性条件となっているため、中和するためにはアルカリ剤を加える必要があります。つまり、(C)は「消石灰」を入れるのが正しいです。

以上から、

  • A:硫酸
  • B:亜硫酸水素ナトリウム
  • C:消石灰

となるので、正解は(1)です。

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