問 題
JISのイオン電極法による排ガス中のふっ素化合物分析方法に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 吸収液に硝酸カリウム溶液を用いる。
- 試料ガスの採取時間は通常、40分程度である。
- 分析用試料溶液に、イオン強度調整用緩衝液を加える。
- 妨害物質(Fe3+、Al3+)の影響を判定する操作が含まれている。
- 検量線は、ふっ化物イオン標準液(F-:0.1mg/mL)とそれを10倍及び100倍に希釈したものを用いて作成する。
正解 (1)
解 説
ふっ素化合物分析方法は、ガス状の無機ふっ素化合物を吸収液に採取し、ふっ化物イオンとして分析する方法です。ふっ素化合物の分析方法は4種類ありますが、その中でも本問で出題されているイオン電極法が最も頻出です。
(1)が誤りです。排ガス中のふっ素化合物分析では、どの方法でも吸収液として水酸化ナトリウム溶液を使います。これは本当によく出題される最重要事項です。よって、(1)の「硝酸カリウム溶液」が誤りで、正しくは「水酸化ナトリウム溶液」となります。
(2)は正しいですが、あまり重要事項とは思えないので、これは正誤が判定できなくても問題ありません。
(3)も正しいです。イオン電極法では、分析用試料溶液にイオン強度調整用緩衝液を加え、ふっ化物イオン電極と参照電極を浸して、電位を測定します。
(4)も正しいです。妨害物質(Fe3+、Al3+)の影響は、濃度の極端に異なる2種類のイオン強度調整用緩衝液を用いて判定します。その結果、妨害物質による影響が大きいと考えられる場合は、水蒸気蒸留操作によってふっ化物イオンを分離してから定量を行います。
(5)も正しいです。検量線はふっ化物イオン標準液の濃度の対数と電位をプロットします。注意点として、濃度のほうは標準液の1倍、10倍希釈、100倍希釈と対数で表しますが、電位のほうは対数スケールではなく通常のスケールの軸とします。つまり、検量線は片対数グラフとなります。
以上から、正解は(1)です。
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