R6年 大気有害物質特論 問3 問題と解説

 問 題     

ガス吸収における処理操作の特徴に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 吸収装置では、ガスと液が大きな界面で接触するように工夫されている。
  2. 集じん、ガスの冷却など、ほかの操作を兼ねることができる。
  3. 吸収液を循環すれば、排水処理装置や廃液処理が不要である。
  4. ガスの増湿を伴うので、排煙の拡散が阻害される。
  5. 汚染物質を溶解した吸収液が酸性液となる場合は、腐食性が問題となる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説     

(1)は正しいです。吸収装置では、ガスと液体の接触面積を大きくすることで、吸収効率を高めることが重要です。そのため、充塡塔などを用いて界面での接触が増えるように工夫されています。

(2)も正しいです。吸収装置では、液体との接触によりガス中の微粒子が液体に捕捉され、集じん効果が得られます。また、液体の蒸発や熱交換によってガス温度が低下するため、冷却効果があります。

(3)が誤りです。

吸収液を循環して使用すれば新たな吸収液の補給量を減らすことができますが、それだと吸収液中に汚染物質が蓄積していきます。これをそのままにすると、吸収効率の低下や装置の腐食・閉塞などの問題が発生するため、定期的に吸収液を排出し、新しい吸収液と交換する必要があります。

よって、「排水処理装置や廃液処理が不要」という記述は明らかに誤りです。

(4)は正しいですが、頻出度から見るとあまり気にしなくていいと思います。吸収装置では、液体とガスが接触するため、ガス中の水蒸気量が増加します(増湿)。増湿したガスは乾燥したガスに比べて密度が高いため、排ガスの浮力が低下し、煙突からの拡散が阻害されます。

(5)も正しいです。ガス吸収において、二酸化硫黄(SO2)や塩化水素(HCl)などの酸性ガスを吸収すると、吸収液が酸性になり、これが装置や配管の材料を腐食させる可能性があります。

以上から、正解は(3)となります。

コメント