問 題
JISによる排ガス中の窒素酸化物自動計測器に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 化学発光方式では、反応槽内を加圧することにより、共存するCO2の影響を減らすことができる。
- 赤外線吸収方式では、吸収スペクトルが重なる水分、CO2、炭化水素が測定の妨害成分となる。
- 化学発光方式及び赤外線吸収方式では、コンバータを用いることでNOxとして測定できる。
- 紫外線吸収方式では、多成分演算法により、共存するSO2の影響を除去する方法がとられている。
- 紫外線吸収方式と差分光吸収方式では、NOとNO2をそれぞれ測定できる。
正解 (1)
解 説
(1)が誤りです。化学発光方式の際にはCO2が妨害物質となりますが、反応槽内を加圧すると測定対象であるNOxとCO2の衝突回数が増え、余計に誤差が大きくなってしまいます。よって、この文章は「加圧」ではなく「減圧」とすれば、正しい記述となります。
(2)は正しいです。各種のNOx自動計測器と、その計測器での妨害物質の組み合わせをまとめると、以下の表のようになります。SO2自動計測器の同様の問題と比べると出題頻度は低いですが、これを覚えておくと正解できる問題がたまに出題されるので、余裕があれば押さえておきたい内容です。
NOx計測器の種類 | 妨害物質 |
化学発光方式 | CO2 |
赤外線吸収方式 | CO2、SO2、水分、炭化水素 |
紫外線吸収方式 | SO2、炭化水素 |
差分光吸収方式 | SO2、炭化水素 |
(3)も正しいです。窒素酸化物自動計測器に用いられる4つの方式の測定原理を簡単にまとめると次のようになります。
- 化学発光方式 :NOとオゾンとの反応で生じる発光を測定する。
- 赤外線吸収方式:NOの5.3μm付近における吸収量変化を測定する。
- 紫外線吸収方式:NOまたはNO2の紫外線領域における吸収量変化を測定する。
- 差分光吸収方式:NOまたはNO2の吸収ピークと端部との吸収信号の差から濃度を測定する。
上記の通り、「化学発光方式」と「赤外線吸収方式」の2つは、直接的にはNOしか測定することができません。そのため、コンバータを用いて排ガス中のNO2をあらかじめNOに還元してから測定します(これによりNOとNO2が合算されます)。
(4)も正しいです。(2)の解説の通り、紫外線吸収方式ではSO2が妨害物質となります。この際、多成分演算法を用いることでSO2の影響をできるだけ除去します。
(5)も正しいです。(3)の解説の通り、化学発光方式と赤外線吸収方式だと、NOとNO2を合算した値しか測定できませんが、紫外線吸収方式と差分光吸収方式では、NOとNO2をそれぞれ測定できます。
以上から、正解は(1)となります。
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