R6年 大気特論 問10 問題と解説

 問 題     

下記に示すNOの生成反応式を説明する記述として、正しいものはどれか。

  1. フューエルNOxの生成機構を説明するもので、Zeldovich機構と呼ばれる。
  2. フューエルNOxの生成機構を説明するもので、これにより生成するNOxはプロンプトNOxと呼ばれる。
  3. サーマルNOxの生成機構を説明するもので、これにより生成するNOxはプロンプトNOxと呼ばれる。
  4. サーマルNOxの生成機構を説明するもので、Zeldovich機構と呼ばれる。
  5. サーマルNOxの生成機構を説明するもので、拡大Zeldovich機構と呼ばれる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

NOの生成反応式が出題されるのは珍しいため、本問はやや難易度の高い問題といえます。しかし、基本的事項を押さえておけば選択肢(4)と(5)の二択までは絞れるはずなので、ここまで進めて二択で運任せになっても仕方ないと思います。

まず大前提として、燃料が由来となって生じるNOxがフューエルNOx、空気中の窒素が由来で生じるNOxがサーマルNOxです。

続いて、サーマルNOxのうち、Zeldovich機構に従わないものをプロンプトNOxといいます。一酸化炭素や水素の燃焼はZeldovich機構に従い、炭化水素の燃焼ではZeldovich機構に従いません。よって、プロンプトNOxの生成は、炭化水素燃料の燃焼に特有の現象だといえます。

ここで、(1)と(2)はどちらもフューエルNOxの話であるので、Zeldovich機構やプロンプトNOxは一切関係がないはずです。そのため、(1)と(2)はいずれも誤りであると判断することができます。

また、(3)に関して、プロンプトNOxは炭化水素燃料の燃焼によるものですが、燃料に含まれる炭素(C)や水素(H)と、空気中の窒素(N)とが反応して、HCNなどのシアン化合物が中間体として存在しています。火炎にシアン化合物が含まれるのはプロンプトNOxの特徴として押さえておきたい知識です。

しかし、問題で示されている反応式にはHCNやCNが書かれていないため、(3)も誤りであると判断することができます。

残るのは(4)の「Zeldovich機構」と(5)の「拡大Zeldovich機構」ですが、結論からいえば、問題で示されている反応式は「Zeldovich機構」を示していて、これに以下の反応式を加えたものが「拡大Zeldovich機構」となります。

そのため、(4)が正しく(5)が誤りということになりますが、解説の冒頭に書いた通り、この問題は(4)と(5)の二択まで絞れればとりあえず上々だと思います。

以上から、正解は(4)となります。

コメント