R6年 大気特論 問9 問題と解説

 問 題     

水酸化マグネシウムスラリー吸収法による排煙脱硫に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 吸収塔では、亜硫酸水素マグネシウムや亜硫酸マグネシウムが生成する。
  2. 吸収塔下部液室や酸化塔では、硫酸マグネシウムが生成する。
  3. 硫酸マグネシウムは、そのまま海に放流できる。
  4. 石灰スラリー吸収法と比べて、運転費が安い。
  5. 生成塩の溶解度は、吸収剤のそれより大きくなる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

水酸化マグネシウムスラリー吸収法は、水酸化マグネシウムを使って排ガス中に含まれる二酸化硫黄を除去する方法です。

(1)は正しいです。水酸化マグネシウム(Mg(OH)2)を吸収剤として用いると、吸収塔で二酸化硫黄(SO2)と反応して亜硫酸マグネシウム(MgSO3)や亜硫酸水素マグネシウム(Mg(HSO3)2)が生成します。

(2)と(3)はともに正しいです。(1)にある吸収塔での反応で脱硫という目的は果たしているのですが、このままMgSO3やMg(HSO3)2を含んだ水を放流してしまうと環境に悪い(CODが上がる)ので、実際にはこれらを空気で酸化して、環境への負荷が少ないMgSO4まで反応を進めてから排水として放流します。

(4)が誤りです。水酸化マグネシウムスラリー吸収法は、石灰スラリー吸収法に比べて設備費は安価で済みますが、水酸化マグネシウムのコストが高い(石灰石や消石灰は安い)ため、運転費は高くなります。

  • 水酸化マグネシウムスラリー吸収法:設備費は安価だが、運転費は高い
  • 石灰スラリー吸収法       :設備費は高価だが、運転費は安い

(5)は正しいです。脱硫反応後の生成塩(MgSO3、MgSO4)の溶解度は、Mg(OH)2に比べて大きくなります。

以上から、正解は(4)となります。

水酸化マグネシウムスラリー吸収法はたびたび出題される頻出テーマなので、もし一連の流れを理解していない場合には、H30年 問9の解説も併せて確認しておいてください。

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