問 題
セレン排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- セレンは難溶性塩を生成しにくく、処理が難しい。
- セレン(Ⅳ)の水酸化鉄(Ⅲ)による共沈処理では、pH9以上のアルカリ性で除去率が高い。
- セレン(Ⅳ)には、吸着材として活性アルミナが有効である。
- 吸着材として、活性炭の効果は認められない。
- 微生物を利用して、セレン(Ⅵ)を金属セレン(Se0)に還元する技術が開発されている。
正解 (2)
解 説
(1)は正しいです。ここにはセレンの基本的な性質が書かれています。記述の通り、セレンは難溶性塩を生成しないため、その排水処理が困難です。
溶解性セレンにはセレン(Ⅳ)とセレン(Ⅵ)の2種類がありますが、このうちセレン(Ⅵ)は特に処理が難しいです。たとえば「活性アルミナによる吸着法」や「共沈法」は、セレン(Ⅳ)には有効ですが、セレン(Ⅵ)には効果が期待できません。
そのため、セレン(Ⅵ)を処理したい場合には、セレン(Ⅳ)や金属セレン(Se0)に還元してから吸着や共沈処理を行います。
(2)が誤りです。(1)の解説の通り、水酸化鉄(Ⅲ)による共沈処理はセレン(Ⅳ)の処理に有効な方法ですが、これは中性から弱酸性にかけて除去効果が高くなります。よって、(2)の「pH9以上のアルカリ性」が誤りで、これを「中性から弱酸性」に直せば正しい文章となります。
(3)は正しいです。これも(1)で解説した通り、セレン(Ⅳ)に対しては有効です。
(4)も正しいです。セレン(Ⅳ)もセレン(Ⅵ)も活性炭の効果は薄いです。活性炭は水銀やクロム(Ⅵ)などには有効ですが、それ以外の多くの金属には適用できません(非金属の処理が得意です)。
(5)も正しいです。セレン(Ⅵ)を金属セレン(Se0)に還元する方法は、金属鉄を用いる方法や、嫌気性条件下で微生物を利用する方法があります。
以上から、正解は(2)となります。
コメント