R6年 水質概論 問10 問題と解説

 問 題     

近年、地下水及び公共用水域における要監視項目として規定されているPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)及びPFOA(ペルフルオロオクタン酸)に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 指針値(暫定)として0.005mg/L以下(PFOS及びPFOAの合計値)が設定されている。
  2. PFOS及びPFOAの製造は、化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)に基づき、原則禁止されている。
  3. 過去に製造された泡消火剤、消火薬剤の形で残っているものがある。
  4. 2023(令和5)年2月から水質汚濁防止法に基づく事故時の措置の対象物質となる「指定物質」に指定されている。
  5. 環境省などの調査で地下水や河川において、指針値(暫定)を大きく超過した例が確認されている。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

PFAS(PFOS・PFOAなど)に関する出題は過去には見られませんが、問題文にもあるように近年注目されている物質なので、今後はPFAS関連の出題が頻出テーマとなるかもしれません。

(1)が誤りです。PFOS及びPFOAの合計値には指針値が設定されていますが、その値は「0.005mg/L」ではなく、「0.00005mg/L(50ng/L)」です。

(2)と(3)はともに正しいです。

PFASの中でも、PFOSやPFOAなどの特定の化合物は、耐水性、耐油性、耐熱性が高いため、食品包装や防水加工製品、消火剤など幅広い製品に使用されています。一方で、これらの物質は、難分解性、高蓄積性、長距離移動性があり、環境中で分解されにくく、健康や環境への悪影響が懸念されています。

そのため、現在は化審法に基づき、その製造が原則禁止されています。

(4)も正しいです。指定物質は、公共用水域に多量に排出されることにより人の健康や生活環境に被害を生ずるおそれがある物質として、60種類が指定されています(水質汚濁防止法施行令第3条3項)。

種類が多いので全て覚える必要はないと思いますが、PFOSとPFOAは2023年に追加されたばかりなので、これらは押さえておくのが望ましいです。

(5)も正しいです。記述の通り、地下水や河川で指針値を大幅に超過している地点が確認されているため、各地で対策が進められています。

以上から、正解は(1)となります。

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