R6年 汚水処理特論 問25 問題と解説

 問 題     

酸化還元電位計(ORP計)に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. ORPは状態を表す指標ではなく、濃度指標である。
  2. 指示電極と参照電極との電位差は、ネルンストの式で表される。
  3. 指示電極には、白金電極、金電極などを用いる。
  4. 電極の汚れは、随時薬剤で洗浄する。
  5. 標準酸化還元電位は、水素電極を基準に算出される。

 

 

 

 

 

正解 (1)

 解 説     

(1)が誤りです。この記述の正誤を判断するためには、まず状態指標と濃度指標の区別をしっかり理解する必要があります。

  • 状態指標:溶液や環境の全体的な状態や性質を示す指標で、複数の要因が組み合わさって決まることが多いです。(例:pH、ORP、DO、EC、濁度)
  • 濃度指標:特定の物質やイオンの濃度や量を直接的に示す指標で、具体的な物質の量を表します。(例:ナトリウムイオン濃度、硝酸イオン濃度、りん酸イオン濃度)

ここで、ORPは問題文にある通り酸化還元電位のことなので、複数の要因が組み合わさった状態指標であると判断することができます。

(2)と(3)はともに正しいです。酸化還元電位計(ORP計)では、白金(または金)の作用電極と参照電極を用いて、2つの電極の電位差を測定します。酸化還元電位を測定する際の酸化還元反応は、ネルンストの式に従います(詳しくはR1年 問24の解説を参照してください)。

(4)も正しいです。電極に塩類などの汚れが付くと測定誤差になるため、必要に応じて薬剤で洗浄します。

(5)も正しいです。酸化還元対を含む溶液に白金電極と水素電極とを入れると、両極間に電位差を生じ、これを標準酸化還元電位といいます。標準酸化還元電位の高い系は、より低い系を酸化することができます。

以上から、正解は(1)となります。

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