問 題
光学式センサ法による溶存酸素の測定に関する記述として、誤っているものはどれか。
- センサキャップに塗布された蛍光物質やりん光物質は、センサ内の励起光源からの光により蛍光やりん光を発する。
- 溶存酸素による消光作用は、発光の位相差や持続時間などから測定される。
- 消光作用は溶存酸素量に反比例する。
- ゼロ調節には、亜硫酸ナトリウム溶液などを用いる。
- 光学式センサを試料に浸して攪拌しながら測定する場合には、大気から酸素が混入しないように注意する。
解 説
光学式センサ法に関する設問はたまに出題されるくらいで、出題頻度は低めです。しかも、本問や過去の類題はどれも知識がなくても考えることで得点できる設問となっているため、光学式センサ法に関する知識を覚えるのは、ご自身の学習状況や理解度によっては後回しにしても構わないと思います。
まず、光学式センサ法の概要を解説します。
光学式センサは、蛍光物質やりん光物質などが塗布されたセンサキャップ、励起光源、光検出部等から構成されるもので、このセンサを試料に浸すと、塗布された蛍光物質やりん光物質が発する光が試料中の溶存酸素による消光作用を受けます。
この消光作用が溶存酸素量に比例することを利用して溶存酸素濃度を求めるのが、光学式センサ法です。
ここで選択肢(3)を確認すると、「消光作用は溶存酸素量に反比例する。」と書かれていますが、上記より、(3)の「反比例」が誤りで、正しくは「比例」だとわかります。
…というのが知識問題として解く解法です。しかし、光学式センサ法に関する知識がない場合でも、(3)の「消光作用は溶存酸素量に反比例」という表現に違和感を持ってほしいところです。
というのも、もしこれが正しいなら、酸素が少ないほど消光作用が大きいということになります。極端な話、無酸素状態(宇宙空間など)では消光作用が∞になるということです。ですが、宇宙の彼方にある星の輝きが地球まで届いていることから、無酸素だと消光作用が∞になるというのは事実に反することがわかります。
実際には、酸素が多いところに光を通すとその光は弱まります。上記では空間の例を出しましたが、これは水中でも同様で、溶存酸素が多い溶液に光を通すとその光は弱まります。よって、(3)の記述は誤りだと判断することができます。
以上から、正解は(3)となります。
コメント