R6年 汚水処理特論 問21 問題と解説

 問 題     

流れ分析法に関する記述中、下線を付した箇所のうち、誤っているものはどれか。

流れ分析法は、(1)ポンプを利用して水試料、試薬を(2)細管中に流し、反応操作などを行った後、検出部で分析成分を検出して定量する方法である。この方法は、手分析に比べて試薬などの使用量が(3)少ない

流れ分析法は、(4)全窒素などの測定に利用されている。(5)フローインジェクション分析では、試薬又は試料の流れの中に気体を導入して分節する。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説     

まずは流れ分析に関する重要事項を解説し、その後、各選択肢の正誤について考えていきます。

流れ分析法は全窒素や全りんの測定として用いられ、これはフローインジェクション分析(FIA)法と連続流れ分析(CFA)法に大別されます。いずれも水試料、試薬を細管中に流し、反応操作などを行った後、検出部で分析成分を検出して定量する方法です。

このうち特に出題されやすいのはCFA法のほうなので、その内容を理解しておく必要があります。

CFA法は、細管内の試料または試薬の流れの中に気体を導入して分節します。分節を行う主な理由は、管の中の流れが乱流となり、試料や試薬がよく混合されるからです。そのイメージ図を下図に示します。

左側から試薬が入り、少し後段で気体が注入され、その後に試料が追加されます(試薬と試料は逆でも構いません)。もしここで気体を入れないとすると、試薬の流れに試料が注入されますが、それだけでは試薬と試料が十分に混合されません。

そこで、空気の玉を入れることで、試薬の流れを連続ではなく断続的に変え(このことを「分節」といいます)、それによって、分節された狭い空間で試薬と試料が十分に混ざり合うという工夫がなされています。

以上を踏まえて選択肢を見ていきます。

(1)~(3)は流れ分析法の特徴が書かれていて、いずれも正しいです。

(4)も正しいです。流れ分析法は全窒素や全りんなどの測定に用いられますが、過去の出題傾向では、特に全窒素の測定に関する設問で出題されるケースが多いです。

(5)が誤りです。「流れの中に気体を導入して分節する」というのは、上記の解説の通り、連続流れ分析(CFA)法を表しています。よって、「フローインジェクション分析」が誤りで、正しくは「連続流れ分析法」となります。

フローインジェクション分析(FIA)法に関する細かい知識は覚えなくて大丈夫だと思いますが、こちらは試薬を試料溶液の流れに瞬間的に注入(インジェクション)し、試料と試薬をチューブ内で拡散・反応させる方法です。

以上から、正解は(5)となります。

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