問 題
嫌気処理装置の維持管理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 二相嫌気処理装置の酸生成槽で有機酸の生成によりpHが低下した場合は、アルカリを添加して過度なpHの低下を防止し、メタン発酵槽への悪影響を防ぐ。
- 嫌気処理では処理水が黒色で透明度が低いため、汚泥の流出を見逃しやすい。
- 固定床の嫌気処理では、担体の閉塞により短絡流が発生すると、処理効率が低下する。
- 嫌気処理では水温の維持がきわめて重要であり、中温消化では30~38℃程度、高温消化では50~55℃程度に保持する。
- 排水の流入が停止し、無負荷の状態が継続したときの生物活性への影響は、高温消化より中温消化のほうが大きい。
正解 (5)
解 説
(1)は正しいですが、二相嫌気処理装置はマイナーなので、この選択肢はスルーしてもよいかもしれません。酸生成槽とメタン発酵槽から構成される二相嫌気処理装置では、記述の通り、2段目のメタン発酵槽に進む前に適切なpH(中性付近)に調整しておくことが重要です。
(2)も正しいです。嫌気処理の処理水は、黒色や暗褐色で透明度が低いことがあります。
(3)も正しいです。記述にある短絡流とは、液体が担体を通らずに直接流出する現象のことです。担体が閉塞して短絡流が起きると、水と微生物との接触時間が短くなるため、処理効率が低下します。
(4)も正しいです。嫌気処理の最適温度としてよく用いられる温度帯は2種類あり、それぞれ中温消化、高温消化と呼ばれます。中温消化は30~38℃程度、高温消化は50~55℃程度の温度帯を指します。
(5)が誤りです。高温消化の微生物は、中温消化の微生物よりも環境変化に対する耐性が低いです。そのため、無負荷状態が続くと、高温消化のほうが微生物活性の低下が大きくなります。
よって、(5)の記述が誤りで、「高温消化」と「中温消化」を入れ替えると正しい文章となります。
以上から、正解は(5)です。
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