R6年 汚水処理特論 問18 問題と解説

 問 題     

りん除去に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 有機物除去を目的とした活性汚泥法においても、菌体合成に利用された分のりんは水中から除去される。
  2. 生物処理水を対象としたりん除去法の一つとして、無機凝集剤による凝集分離処理が行われている。
  3. HAP法やMAP法は、りん酸を回収して肥料化する技術としても期待されている。
  4. 生物学的脱りん法は、嫌気条件下でりんを過剰摂取した余剰汚泥を引き抜くことで行われる。
  5. 嫌気無酸素好気法は、りんと窒素を共に除去することを目的とした処理法である。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

(1)は正しいです。活性汚泥法では、微生物が有機物を分解し増殖する際に、栄養素としてりんを取り込みます。この菌体合成に利用された分のりんは、余剰汚泥として系外に排出されるため、水中からりんが除去されます。

(2)も正しいです。りんの除去は、鉄系やアルミニウム系の無機凝集剤による凝集分離処理を用いるのが普通です。これは、りん酸イオンと鉄やアルミニウムが難溶性の塩を形成するため、凝集沈殿を効率的に行えるからです。

(3)も正しいです。HAP法もMAP法もどちらもりんの除去に用いられる方法です。これらはいずれも重要事項なので、それぞれの特徴をしっかりと押さえておく必要があります。

HAP法は、りんを含む原水にカルシウム剤を加え、pH調整することでヒドロキシアパタイト(水酸化リン酸カルシウム)としてりんを晶析させる方法です。HAPの「H」は「ヒドロキシ」であると覚えておいてください。

MAP法は、アンモニアの存在下でマグネシウム剤を添加し、pH調整を行うことでりん酸マグネシウムアンモニウムとしてりんを回収する方法です。MAPの「M」が「マグネシウム」であることを覚えておくと便利です。

HAP法やMAP法で回収されたりん化合物は、肥料の原料として利用可能であり、りん資源の有効活用が期待されています。

(4)が誤りです。生物的脱りん法は、活性汚泥法において汚泥のりん含有量を高め(過剰摂取現象)、余剰汚泥として系外に排出する方法です。これは、「嫌気条件下」ではなく「好気条件下」で行われます。

(5)は正しいです。嫌気・無酸素・好気法はその名の通り、上段が嫌気槽、中段が無酸素槽、下段が好気槽となっています。それぞれの役割は、嫌気槽でりんを放出させて、無酸素槽で脱窒素を行い、好気槽でりんを取り込んでいます。よって、この一連の流れで、りんと窒素の両方を除去できます。

以上から、正解は(4)となります。

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