R6年 汚水処理特論 問10 問題と解説

　問 題　　　　　

流動焼却炉に関する記述として、最も不適切なものはどれか。

1. ダイオキシン類の発生を抑制するためには、適正な燃焼温度管理に留意する必要がある。
2. 流動媒体としては砂などを用いる。
3. 炉に供給された脱水汚泥は、流動媒体と接触し、水分蒸発と燃焼分解が起こる。
4. 排ガス中の臭気成分は熱によって分解されにくいので、脱臭装置を通す必要がある。
5. 排ガスは熱回収装置(空気予熱器)などを通して、熱効率を向上させる。

 

 

 

 

 

　解 説　　　　　

(1)は正しいです。比較的低温で燃焼するとダイオキシン類が発生しやすくなります。そのため、適正な燃焼温度管理(850℃程度)が必要です。ダイオキシン対策の「850℃」という数値は重要事項として覚えておいてください。

(2)も正しいです。流動焼却炉は、炉の中に砂などの流動媒体を入れ、下方から高温ガスを送入して流動化させ、この流動層内に汚泥を供給して燃焼させるタイプの焼却炉です。

(3)も正しいです。脱水汚泥などの燃料は、流動媒体と接触することで迅速に加熱され、水分蒸発と燃焼分解が起こります。

(4)が誤りです。(1)の通りダイオキシン類対策で850℃程度で燃焼させているため、大抵の悪臭物質は燃焼によって分解されます。そのため、脱臭装置を通す必要はありません。

(5)は正しいです。排ガスの熱エネルギーを利用して、燃焼用空気を予熱するなどの熱回収装置を設置することで、全体の熱効率を向上させることができます。

以上から、正解は(4)となります。