問 題
清澄ろ過に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 砂ろ過機には重力式と圧力式があり、重力式のろ過機は上部が開かれているので機内の様子が観察でき、保守や管理が容易である。
- 上下向流ろ過では、下向流は砂層からアンスラサイト層へと通り、上向流はアンスラサイト層から砂層へと通る。
- 下向流ろ過における理想的なろ層の構成としては、常に上層に粗粒がきて、下層にいくほど細粒となり、しかも逆洗によってこれが逆転しないことである。
- 水がろ材層を通過するときに生じる水頭差は、ろ過損失水頭あるいはろ過抵抗と呼ばれ、ろ過時間の経過とともに増大する。
- マイクロフロック法の利点の一つは、原水の懸濁物濃度が低ければ凝集沈殿池を必要としないことである。
解 説
(1)はややマイナーですが、正しいです。砂ろ過機には重力式と圧力式があり、重力式のろ過機は上部が開かれているので機内の様子が観察でき、保守や管理が容易です。一方、圧力式砂ろ過機は密閉構造となっていて、ポンプ圧力を大きくすることによってろ過圧力を大きくします。
(2)が誤りです。多層ろ過(二層ろ過や三層ろ過)の場合、上流に大きい粒を、下流に小さい粒を置くことで効率的にろ過することができます。ちなみに、清澄ろ過は普通上から下へと水を流すので、上層が上流、下層が下流となります。
ここで、この試験に出題される3種類のろ材の大きさを比較すると、「ザクロ石の細砂 < 砂 < アンスラサイト」の順番になります。よって、二層ろ過と三層ろ過のろ材の並びは次のようになります。
【二層ろ過】
- 上層:アンスラサイト
- 下層:砂
【三層ろ過】
- 上層:アンスラサイト
- 中層:砂
- 下層:ザクロ石の細砂
以上を踏まえると、上下向流ろ過では、下向流(上→下)は「アンスラサイト → 砂」で、上向流(下→上)は「砂 → アンスラサイト」となるので、(2)の記述は反対であると判断することができます。
(3)については(2)の解説の通り、正しい記述です。
(4)も正しいです。水がろ材を通過する際には、摩擦や捕捉された粒子によって水頭差(圧力損失)が生じます。これをろ過損失水頭またはろ過抵抗と呼びます。時間が経過するにつれて、ろ材に懸濁物質が蓄積していくため、ろ過抵抗は徐々に増大します。
(5)も正しいです。マイクロフロック法は、急速撹拌槽を出た直後の凝集水を直接ろ過池に通す処理方法です。つまり、フロック形成工程や沈殿工程を省略するのが特徴です。よって、原水の懸濁物濃度が低ければ凝集沈殿池は不要となります。
以上から、正解は(2)です。
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