R6年 大規模大気特論 問4 問題と解説

 問 題     

煙の上昇に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 大気中へ排出された煙は、上向きの運動量の効果と浮力の効果で上昇する。
  2. 種々の上昇式のうち、CONCAWEの式は運動量にかかわる変数を含まない。
  3. 無風に近い状態において使える上昇式として、Briggsの無風時用の式がある。
  4. 成層が安定な大気中では、理論上、上昇高さを算出できない。
  5. 実際の大気層には上層に必ず安定層があり、ここで煙がトラップされる。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

(1)は正しいです。煙の上昇高さは、排出口における運動量と浮力の効果を見積もった上昇式で計算されます。

(2)も正しいです。ややマイナーな知識ですが、コンカウ(CONCAWE)の式は次に示す式で表されます。よって、この式では運動量にかかわる変数を含みません。

コンカウの式

  • ΔH:煙突排ガスの上昇高さ [m]
  • QH:排出熱量 [W]
  • u:風速 [m/s]

(3)も正しいです。ブリッグス(Briggs)の式には、有風時用または無風時用の排ガス上昇式がそれぞれあります。文字通り、無風に近い状態では無風時用の式を用います。

(4)が誤りです。モーゼスとカーソンの式は、大気安定度を考慮して煙突排ガスの上昇高さを推定する計算式です。そのため、これを使えば、成層が安定な大気でも煙の上昇高さを理論的に算出することができます。

(5)は正しいです。実際の大気層の上層には逆転層(安定層)があり、煙がこの安定層に到達すると、それ以上の上昇が阻まれ、その層内で水平に広がる(トラップされる)ことになります。

以上から、正解は(4)となります。

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