問 題
紙・パルプ工場における蒸解工程とその排水の処理に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 蒸解工程では、木材チップに硫酸ナトリウムと塩化ナトリウムの混合溶液を加え、蒸解釡で加圧下で加熱し、リグニンを分解・可溶化する。
- 蒸解工程の後の洗浄工程では、パルプ繊維から分離されたリグニンなどを含む液が生じ、黒液と呼ばれる。
- 黒液には可溶化したリグニンとヘミセルロース、さらに、蒸解に用いたナトリウムと硫黄が含まれる。
- 黒液は濃縮された後、回収ボイラーで燃焼される。このとき、液中の有機物が燃焼するので、エネルギーを生み出すことができる。
- 回収ボイラーで黒液を燃焼すると、炉底部から溶融した無機物が回収される。無機物は再生工程で蒸解薬品に再生される。
正解 (1)
解 説
(1)が誤りです。蒸解工程では木材チップに含まれるリグニンを分解するのが目的です。これには白液という薬品が用いられますが、その成分は「硫酸ナトリウムと塩化ナトリウム」ではなく、「水酸化ナトリウムと硫化ナトリウム」です。
(2)と(3)はともに正しいです。木材から紙となる繊維を取り除くと、リグニンという物質が残ります。このリグニンやそれが変質したもの、製紙工程で使った薬剤、その他樹脂などが混じりあったものを濃縮したものが黒液です。
(4)と(5)もともに正しいです。濃縮された黒液は回収ボイラーで燃焼され、大きなエネルギー源となります。一方で、炉底から排出された溶融無機物は、蒸解薬品として再生利用されます。
以上から、正解は(1)となります。
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