R6年 大規模水質特論 問6 問題と解説

 問 題     

水の再利用に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 現在実施されている再生利用は、局部的再生利用がほとんどで、地域的再生利用は一般的ではない。
  2. ワンパスで捨てられている間接冷却水があれば、まずは冷却塔による循環利用を検討する。
  3. 再利用の工程中で水に含まれる無機塩類や溶解性有機物を除去する手段として、活性炭吸着、イオン交換、膜分離などがある。
  4. 鉄鋼業における圧延戻水は、活性汚泥法による処理工程を経た後、冷却塔で水温を低下させ、再利用される。
  5. 半導体製造工場では、超純水によるウエハ洗浄工程からの排水は再利用される。

 

 

 

 

 

正解 (4)

 解 説     

(1)は正しいです。再生利用の方式には、局部的再生利用、工場単位再生利用、地域的再生利用の3種類がありますが、実際に用いられているのは局部的再生利用がほとんどです。各方式の特徴を知りたい場合には、R5年 問5の解説を参照してください。

(2)も正しいです。「ワンパスで捨てられている」というのは、冷却塔で水を1回流したら、その水をそのまま捨ててしまうという意味です。比較的きれいな水を捨ててしまうのはもったいないので、冷却塔による循環利用を考えるのは現実的です。

(3)も正しいです。活性炭吸着、イオン交換、膜分離などは、無機塩類や溶解性有機物を除去する手段の代表例といえます。

(4)が誤りです。活性汚泥法は有機物を生物学的に処理する方法です。鉄鋼業の圧延戻水で有機物が多く含まれることは考えにくいので、圧延戻水に対して活性汚泥法を用いるのは不適切であると判断することができます。

鉄鋼業の連続鋳造や熱間圧延の工程では、冷却水へ懸濁物質が混入するため、沈殿、ろ過処理をしたのちに冷却塔で水温を低下させ、再利用するのが適切です。

(5)は正しいです。半導体製造工場では、一工程が終わるごとに超純水により洗浄が行われます。これらの工程からの排水のうち、天然水に比較して純度的にかなり良好なものは再利用が行われます。

以上から、正解は(4)となります。

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