問 題
海洋生態系モデルにおける計算過程に関する記述として、不適切なものはどれか。
- 海底堆積物から溶出する栄養塩の負荷について、湾内各地で観測されたデータを基にして、スプライン法を用いてモデルの各格子点での値を推定した。
- 外洋からの栄養塩の負荷量を観測から求めた。
- 観測で得られたデトリタス濃度とクロロフィル濃度の相関から、植物プランクトンの炭素現存量を求めた。
- 動物プランクトンの長さや幅の計測から体積を求め、炭素生物量に換算した。
- 植物プランクトンの炭素と窒素、りんの比としてレッドフィールド比を用いた。
正解 (3)
解 説
本問では、(1)のスプライン法や(5)のレッドフィールド比などマニアックな用語が登場する上、各選択肢の文章が過去の出題傾向とは異なった趣きで、やや難易度の高い出題といえます。
出題頻度から考えると捨て問題を考えても構わないと思いますが、一方で、正解の選択肢である(3)の内容が明らかにおかしいことに気づければ、ほかの選択肢の正誤が判断できない場合でも正解することはできます。
(3)に関して、デトリタスとは懸濁体有機物のことです。これは、動物プランクトンの排ふん、死亡により生産されたり、植物プランクトンが枯死することで生産されたりします。つまり、デトリタスは有機物の成れの果てのようなものといえます。
ここで、(3)には「デトリタス濃度とクロロフィル濃度の相関から、植物プランクトンの炭素現存量を求めた」とありますが、デトリタスは動物プランクトン由来のものも含む上、植物プランクトン由来でもすでに枯死しているため、炭素現存量とは何の関係もありません。
よって、デトリタス濃度とクロロフィル濃度の相関から植物プランクトンの炭素現存量を求めることはできません。実際には、植物プランクトンの炭素現存量は、クロロフィル濃度から炭素への換算係数を用いて直接求められます。
以上から、正解は(3)となります。
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