問 題
JISによる排ガス中のダスト濃度測定のための水分量測定に関する記述として、誤っているものはどれか。
- ダクトの中心部に近い1点だけから試料を採取してもよい。
- 1本の吸湿管内で、吸湿剤1g当たり0.1L/min以下の排ガスの吸引流量となるように吸引する。
- 吸湿剤で吸湿された水分が10g以上となるように吸引ガス量を選ぶ。
- 吸湿剤として、無水塩化カルシウム(粒状)などが用いられる。
- 平衡形試料採取装置を用いる場合、水分量をあらかじめ測定する必要はない。
解 説
(1)は正しいです。ガス中の水分は比較的均一に分布していると考えられるため、ダクトの中心部に近い1点からの採取が認められています。一方で、ばいじん濃度の測定では、ガス中の粉じんが不均一に分布する可能性があるため、複数点での採取が必要となります。
(2)も正しいです。水分を逃さずに完全に吸湿するためには、吸湿剤を通す排ガスの吸引流量は低いほど良いです。そのため、吸引流量は1本の吸収管内で吸湿剤1g当たり0.1L/min以下となるように設定します。
(3)が誤りです。この記述の「10g以上」の部分が誤りで、ここを「0.1~1g」とすると正しい文章になります。
吸湿された水分量が0.1gもあれば測定精度を確保することはできますし、過度に大量のガスを吸引すると吸湿剤が飽和し、吸湿効率が低下するおそれがあります。その兼ね合いとして、吸湿剤で吸湿された水分を0.1~1gにするのが適切です。
(4)は正しいです。無水塩化カルシウムは最も使いやすい吸湿剤だといえます。
そのほか、酸化バリウム、酸化カルシウム、酸化アルミニウム、シリカゲルなどが挙げられますが、これらはいずれも二酸化炭素を吸収し、測定に誤差を与えるため、二酸化炭素を含むガスには使えません。一方、無水塩化カルシウムなら二酸化炭素の存在下でも使えます。
(5)も正しいです。等速吸引を行う方法には、普通形試料採取装置を用いる方法と平衡形試料採取装置を用いる方法があります。平衡形試料採取装置の特徴として、これを用いる場合は、あらかじめ水分量や等速吸引流量を知る必要がありません。
以上から、正解は(3)となります。
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