問 題
集じん装置に対するダスト濃度の影響に関する記述として、誤っているものはどれか。
- 重力集じん装置では、ダスト濃度が高いほど、一般に集じん率は向上する。
- サイクロンでは、ダスト濃度が高いほど、一般に集じん率は向上する。
- 実用化されている洗浄集じん装置においては、ダスト濃度が高くなると給水用スプレーノズルが詰まりやすくなる。
- バグフィルターでは、ダスト濃度が高くなると払い落とし回数が多くなるが、払い落とし回数の増加は、払い落とし方式によらず集じん率には影響しない。
- 電気集じん装置では、つち打ち回数は主としてダストの電気抵抗によって定まり、ダスト濃度にはあまり大きな影響を受けない。
正解 (4)
解 説
(1)は正しいです。重力集じん装置では、ガス中の粉じんが重力によって沈降します。ダスト濃度が高いと粒子同士がくっついて粒径が大きくなり、沈降速度が増加するため、集じん率が向上します。
(2)も正しいです。サイクロンでは、遠心力を利用して粉じんを分離します。ダスト濃度が高いと、粒子間の凝集効果により実質的な粒径が大きくなるため、遠心力による分離効率が高まり、集じん率が向上します。
(3)も正しいです。これは想像しやすいと思いますが、ダスト濃度が高いと粉じんがスプレーノズルに付着しやすくなり、詰まりの原因となります。
(4)が誤りです。バグフィルターのろ布表面に形成された一次付着層は、払い落としによってその一部が剥がれ落ちるため、払い落とし直後は集じん率が低下します。その後、時間経過により再び一次付着層が形成されるため、集じん率は元(ほぼ100%)に戻ります。
よって、多くの払い落とし方式において、払い落とし回数の増加は集じん率の低下につながるため、(4)の記述は誤りです。
(5)は正しいですが、これはあまり重要事項でもないため、この選択肢はスルーしても構わないと思います。
電気集じん装置でのつち打ちは、放電電極や集じん電極に付着したダストを剥離させるのに有効です。
電気集じん装置では、粉じんの電気抵抗が高いと極板に粉じんが強く付着し、除去しにくくなるため、つち打ち回数を増やす必要があります。一方で、ダスト濃度の影響は比較的小さいため、これによってつち打ち回数を調整する必要はほぼありません。
以上から、正解は(4)となります。
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