R5年 大気概論 問10 問題と解説

 問 題     

植物に対する大気汚染物質の影響に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. オゾンは毒性が比較的強く(大気中で数ppb~数十ppbの濃度レベルで植物被害が発生)、小斑点、漂白斑点、色素形成、等がみられる。
  2. 二酸化硫黄(SO2)は毒性が中程度(大気中で数百ppb~数ppmの濃度レベルで植物被害が発生)で、葉脈間不定形斑点、クロロシス、生育抑制、早期落葉がみられる。
  3. パーオキシアセチルナイトレート(PAN)は毒性が中程度で、葉脈間不定形斑点、落葉がみられる。
  4. 二酸化窒素(NO2)は毒性が中程度で、葉脈間の白色・褐色、不定形斑点がみられる。
  5. ふっ化水素は毒性が比較的強く、葉の先端・周縁枯死、クロロシス、落葉がみられる。

 

 

 

 

 

正解 (3)

 解 説    

植物への毒性が強いもの・中程度のもの・弱いものの代表例と、それぞれの影響の内容を以下に示します。

本問の類題は数年おきに出題されているため、以下の内容はできる限り覚えておくことが望ましい重要事項です。ただし、毒性が弱い3物質の被害内容については、出題される確率が低いので割愛しています。


【植物への毒性が強い】
 数ppbから数十ppbの濃度レベルで植物被害が発生

  • ふっ化水素:葉の先端・周縁枯死、クロロシス、落葉
  • オゾン  :小斑点、漂白斑点、色素形成
  • 塩素   :葉脈間等漂白斑点、落葉
  • PAN   :葉裏面の金属色光沢現象
  • エチレン :果実の成熟や開花の促進、落果・落葉

【植物への毒性が中程度】
 数百ppb~数ppmの濃度レベルで植物被害が発生

  • 二酸化硫黄:葉脈間不定形斑点、クロロシス、生育抑制、早期落葉
  • 二酸化窒素:葉脈間の白色・褐色、不定形斑点

【植物への毒性が弱い】
 数十ppm~数千ppmの濃度レベルで植物被害が発生

  • 一酸化炭素
  • 塩化水素 
  • アンモニア

以上と選択肢を比べると、(3)のPANの記述が、毒性の強さも影響の内容も間違っていることがわかります。よって、正解は(3)です。

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