R5年 大気概論 問7 問題と解説

 問 題     

地球温暖化に関する記述として、誤っているものはどれか。

  1. 温暖化係数とは、代表的な温室効果ガスである二酸化炭素(CO2)の温室効果を1として相対的に示す値である。
  2. メタン(CH4)の温暖化係数(100年)は、一酸化二窒素(N2O)の温暖化係数(100年)より小さい。
  3. オゾン(対流圏)は、温室効果ガスの一つである。
  4. 大気中のCO2濃度は、産業革命以前の278ppmから、2020年には413ppmまで上昇している。
  5. 2000~2009年における大気中CO2濃度の平均増加率から推定した大気中炭素の平均増加量は、1億トン-炭素/年である。

 

 

 

 

 

正解 (5)

 解 説    

この問題の正解は(5)ですが、これはかなりマイナーな知識だといえます。一方で、他の選択肢は重要事項として押さえておきたい内容なので、この問題は消去法で正解できればよいと思います。

(1)は正しいです。これは温暖化係数の基本的な説明文となっています。

(2)も正しいです。IPCC第5次評価報告書によると、メタンの温暖化係数は28、一酸化二窒素の温暖化係数は265となります。約5~7年ごとにIPCCの新しい評価報告書が公表されるたび、この値は更新されていきます。そのため、数値を正確に覚えずとも、目安くらいに捉えておけばいいと思います。

(3)も正しいです。オゾンといえば紫外線を吸収するイメージが強いかもしれませんが、赤外線も吸収するため、オゾンは温室効果ガスの一つといえます。

(4)も正しいです。産業革命以前~2020年現在で「278ppm → 413ppm」とありますが、過去の類題を見ても、試験対策としては大雑把に「300ppm → 400ppm」と覚えておけば十分です。

(5)が誤りです。大気中のCO2濃度は、毎年約2.5ppm程度増加しています。CO2濃度が1ppm上がると、大気中炭素は約80億トン増えるため、2.5ppmだと200億トンに相当することがわかります。これは概算ですが、(5)にある「1億トン-炭素/年」とは明確に離れています。

しかし、解説の冒頭で書いたようにこれはかなりマイナーな知識です。CO2濃度の平均増加率も過去にほとんど出題されていませんが、大気中炭素の平均増加量はそれ以上にマニアックです。そのため、あまり気にしなくていいと思います。

以上から、正解は(5)となります。

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